事務所通信
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税理士制度の今後について その1 [税理士制度の今後について]

2008-07-04

 今回は、先日(7/1)に税理士会館で行われた本会朝倉会長と戸張日本公認会計士神奈川県会長との対談に臨席しましたので、その対談の内容を要旨かいつまんで紹介します。
 対談は午前10時30分?12時まで、1時間半にわたって活発な意見交換が行われました。主な議題としては、
? 試験制度の見直しについて
?会員の増強について
?研修制度について
 以上の3点でした。それ以外にもいろいろな議論が出ましたが、紙面の関係で割愛します。
 まず、試験制度の見直しについて
 公認会計士は質を下げずに如何に受験者数を増やすかという観点から試験制度を抜本的に見直し、その結果二次試験合格者数が4千名あまりと大幅に増えたそうです。
 その点税理士試験は従来からの制度に変化はなく、このところ受験者数も伸び悩みというか、若干減少傾向にあるようです。
 勿論両試験ともに国家資格を付与する試験ですから、そんなに簡単な内容の試験であっては決してならないのですが、、それでも税理士試験に関して言えば、まさに落とすための試験であると思います。つまり毎年約1千名弱の試験合格者が出るのですが、各科目の科目別合格率を見ても1ケタ台が殆どで、一定以上の知識を持つ人を合格させるというよりは、最初から合格者数の枠は決まっていて、上から順にカウントしていき、その一定数に達してしまったら後の受験者は点数がいくら良くても不合格とする。またその逆に難しい問題が出された年で受験生の点数がみな低い場合でも、上位約10%の人たちを合格者とする、その問題に対して回答が合格レベルに達しているのか問う前に上位者を一定数合格としているようです。
 厳格な試験制度の目的は、表向きには税理士資格の質の確保があるようですが、むしろ合格者数を一定の枠内に収めることによって、すでに税理士開業者の権益を守るためという、既得権者の権利擁護を図るための側面が強いように思えてなりません。
 そうした試験制度は、人口増加社会の局面では有効に機能したけれども、これからの少子高齢化社会の到来により若年労働者が減少する局面では、受験者数そのものが減るのですから、今の制度を続けていけば、税理士合格者数が減少するのは目に見えています。
 むしろ、公認会計士のように受験者にもっと門戸を広く開け、一定以上の知識を有する人は数関係なく合格させる英断が必要なのではないでしょうか。
 試験科目についても、税理士業務の遂行にあたって周辺知識が必要であることから、民法を始め試験科目の見直しを図る必要があると思います。税理士会制度部において、試験制度の見直し及び試験科目の見直しについてさまざま議論されていますが、よりよい提言がされることを切望しています。