事務所通信
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消費税増税とインボイス方式について その1  [消費税増税について]

2012-01-02

 私の稚拙なブログをご愛読頂いている読者の皆さん、明けましておめでとう
ございます。

 昨年の3月11日の東北地方大震災から約10か月が経ち、日本全体も少しずつ
復興に向け歩みだしているようです。
 しかし世界を見渡せば、欧州の経済不安に連鎖現象が見られ、わが日本も財政
赤字が膨らむ一方で、何か明るい材料を探そうとしても難しい情勢ではあります。

 そんな中、野田総理が長年の懸案事項であった消費税増税に本格的に着手しました。
民主党から9名もの造反議員が出ましたが、増税は必至の情勢のようです。
 国民もこれからの本格的な少子高齢化の時代の到来に向け、多くの方は消費税増税
やむなし、と本音では思っているでしょうが、なおなかなか承諾できない最大の理由
は、国会議員の削減や官僚の削減といった行政改革に殆ど手をつけていないことでは
ないかと思います。

 日本という国は、農耕民族のおおらかさもあって責任の所在を曖昧にする傾向が
あり、内部からの改革は殆ど進まないと言ってよいでしょう。
 自分たちで自分たちの首を締めることをやりたがらないのは、わが身を振り返って
みれば心情的には分かりますが、こと国民から税金という形で預かっている公金を
ただでさえ色々な施策に運用しなければならない状況下において、一個人、一組織
の維持などという私情では、到底許されないことであります。

 今回の民主党議員の離反はまさに茶番劇で、選挙公約違反と言ってさも国民への
約束を自分たちこそ果たそうとしているかのように装い、善人面をしていますが、
この人たちこそ、国会議員として重要な選択、議論をすべきその局面においてそれを
放棄し、旗色が悪くなるとさっと引いて自分たちの保身にのみを図るという、最も
姑息な人間にしか私には映りません。
 これらの国会議員に国はいくらの給料や政策費を支払い、国のお金で大々的に選挙
までやって、国民に対してどれだけのことをしていただいたのでしょうか。

 消費税を増税するのなら、一方で国会議員が税の無駄を削減することを確約し、実
行し、その達成度に応じて税率引き上げに応じるようにすべきではないでしょうか。

 ただ私見としては、国会議員にのみ頼るのではなく、私たち一人一人が大きな政府
を本当にこれからも望むべきか真剣に考える必要はあると思います。
 大きな政府を望めば、ギリシャではありませんが公務員の数を削減するどころか、
もっと増やす必要が出てくるかもしれません。
 官僚や公務員の方々はむしろそうした風潮を喜ぶでしょう。だって自分たちの仕事
が増え、定員も増やし、予算ももっと要求することが出来るからです。
 つまり官僚、公務員に国、地方の財政支出増額の大義名分を与えることになるので
す。

 一方小さな政府では、国、地方の財政支出も削減される代わりに、国民一人一人が
お上に頼らないで個人の力でやらねばならないことが増えてきます。

 私には、国民の一人一人が口では財政支出を押さえろと言っていながら、本音では
国にいろいろしてもらいたい、つまり大きな政府を望んでいるように見えて仕方が
ないのです。
 数々の本に出ていますが、日本は中負担、中福祉の社会であるとのことです。
しかし大きな政府を望むのであれば、自ずから高負担にならざるを得ません。
スウェ?デンのように。

 国債をあれだけバンバン発行しているということは、将来の世代の稼得する所得を
先食い、つまり前借りしている状態ですから、少子社会を打開するといっても、
私だってこの世に生を受けてくるとしたら、こんな時代に生まれてきたくはありませ
ん。
 だっておぎゃ?と生まれた瞬間に、すでに1千万円近い借金が自分の肩に乗っかっ
てしまうからです。
 相続の場合限定承認と言って、親の遺した借金は、その親のプラスの財産の範囲内
で受け継げば良いという制度がありますが、日本国民として生まれてきたら、いきな
り借金を無理やり先代から押し付けられるのはたまったものではありません。

 その辺りの将来の子孫への配慮を、本当に私たちは真剣に考えていかなくてはなら
ないと最近つくづく思うのです。
 消費税を中心とした増税論議も、自分たちが多少不自由になっても将来の子たちの
負担を少しでも減らそうと思えば、うんと言わざるを得ないのではないでしょうか。