相続税大増税時代に備えて下さい その11
平成27年から施行される相続税の課税強化の中心は何と言っても課税最低限度額
の引き下げです。
これにより課税される対象者のすそ野が広がり、現在100人に4人が相続税の
申告をしなければならない状況が、約2倍の8%程度まで増加すると見られてい
ます。これは容易に想像がつくことと思います。
ご夫婦とお子さん2人という標準家庭のケ-スで、ご主人が他界された場合にいく
ら以上の財産があれば、相続税を支払う或いは相続税の申告義務が発生するので
しょうか?
現行の相続税では8000万円となっています。
その計算根拠は、5000万円+法定相続人の数×3人です。
法定とは民法で規定するところの相続権のある相続人のことです。
従って相続人の中に、相続放棄をされた方がいる場合にはその方は法定相続人の数
には含みません。
また税法独自の規定として、養子の数の制限があります。
民法上では何人でも養子を増やすことは出来るのですが、相続税法では、実子
つまり実の子が相続人にいる場合には、民法上何人養子がいても、税法上は養子は
1人までしかカウントできません。
これは昭和60年代前半に相続税対策と称して、亡くなる前に養子を10人以上
縁組した人がいて、それはあまりにも行き過ぎだろうとのことから、相続税法の
規定で抑制することにしたそうです。
8000万円というのは、なかなか普通のご家庭ではそこまでの財産額を所有され
ている方は少ないのではないでしょうか。
例として東京の郊外に50坪の土地を購入し、そこに30坪の家を30代半ばに
住宅ロ-ンでお建てになった、中規模の企業に勤めるごく一般のサラリ-マンを
仮定してみましょう。
この方は60歳の定年後はゆっくりと余生を過ごされ、子供2人も無事結婚し、
それぞれにご家庭を持っている。ご主人は65歳で住宅ロ-ンも終わり、今は
年に300万円ほどの年金をもらいながら、妻と2人でのんびりと暮らしている。
老後の蓄えは退職金の残りと毎年少しずつ積み立てている貯金で、金融資産は
2000万円ほどである。土地は坪単価60万円である、という方の場合です。
土地の評価額は、50坪×60万円=3000万円、家屋は30年以上経って
いる木造家屋のため、固定資産税評価額は150万円、金融資産2000万円、
ロ-ンなし、ということで、財産総額は5150万円になります。