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セカンドオピニオンについて考える その10 [セカンドオピニオンにについて考える]

2012-11-04

このように、税理士がどんな職業で、どういうサ?ビスを提供してくれるか、一般の人
から見て分かりにくいのが、最大の難点です。

 税理士は何をしてくれるのかが良く分からない、また税理士の中でどの税理士が能力
が高いのか、それを客観的に判断する尺度もないとすれば、いきおいお客様を惹きつけ
るインパクトの強い広告に流されていまうのも、ある意味致し方ないのではないかとも
思うのです。

 私はもう20年以上前の、自分が勤務税理士であった頃から、お客様から見て税理士
はどれも同じに見えていまう。自分の専門分野も謳っていないし、どの税理士がどの
程度の力量を持っているかを、一般の方が判断する術はないのではないか、これでは
あまりにも不親切ではないか、と常々思っていました。

 税理士は当時は法人制度もなく、みな個人事業主でした。
2箇所以上の税理士事務所を持つことは、税理士法で禁止されていますし、護送船団
行政のように、一つの事務所が大きくなることを封じて、開業税理士がみなこじんまり、
仲良くやりましょうというシステムになっているように思います。

 一方で税理士が関与している法人は、どんどん大きくなり上場する企業も現れてくる
わけですから、関与先企業の拡大と税理士業界の家内工業制とは、いずれミスマッチ
ングを起こすのでは、というのが今でも変わらぬ私の持論です。

 私は企業の成長につれ、関与する税理士も変わっていって良いのでは、というよりも
むしろ変わるべきではと思うのです。

会社が小さいうちは、記帳指導から初めて税金のイロハを教え、人事労務の相談にも
乗り、家族ぐるみでお付き合いしていくことも可能でしょう。
 徐々に会社が成長し、規模が拡大していく状況では、資金繰り、経営計画の策定にも
税理士が関わる必要があると思いますし、組織の構築にも力を貸す局面が出てくるは
ずです。
 さらに会社の規模が拡大し、上場を目指すとなりますと、公開企業として株式の構成
をどうするか、支配力を維持しながら、かなりの割合の株式を外部に公開し、外部からの
資金調達を容易にする代わりに、どんな人が株式を買い占めて会社の乗っ取りを画策
するかもしれないその危険性をどう排除するか、また事業承継の問題をどうクリアするか
などより高度な難易度の高い相談にも応じていかなければなりません。

 それらの相談を、最初から関与している一人の税理士が全てこなすことが出来るのか
そこまで間口が広く、かつ深度のある相談に対応していけるかと言えば甚だ疑問です。