事務所通信
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勤務税理士時代を回顧する その16 [勤務税理士時代の回顧]

2008-08-07

 もう一つ私が事務所の職員にそっぽを向かれた大きな理由は、導入した作業日報を十分に管理資料として活用していなかったからです。
 つまり皆に作業日報は提出させておきながら、私が作業日報の集計及び分析を十分にしなかったものですから、職員の皆さんからすれば、何のために忙しい思いをして日報記入を行ったか分からない、冗談じゃない、ということに当然なりますね。
 そもそも作業日報作成の目的は、原価=人件費である会計事務所にあつては、その原価である時間管理をするのは当たり前であって、どこに無駄があり、より効率的で顧客に今以上の付加価値を提供するために,どこに時間配分するのが最適か、をそれぞれの職員が自己分析し、今後の行動に結び付けることです。
 ですから最終的には上司に提出し、管理されるために付ける資料ではなく、あくまでも職員一人一人が自己分析するために、つまり己の行動を点検し、反省するために作成する資料です。
 しかし導入時はその活用の仕方がよく分からないでしょうから、私が分析検討資料を作成し、この日報作成及び活用方法を十分に職員に周知徹底させるべきであったのですが、私がその一番肝心な業務をおろそかにしたものだから、当然皆からそっぽを向かれてしまったわけです。
 私も青天の霹靂でいきなり副所長になったものですから、人の使い方を全く分からず、ただ己の理想像だけを振りかざしていたのですから、職員の皆さんからみればたまったものではなかったと思います。
 その他私が副所長として考えたことは、自分から全ての担当を外し、I事務所の全顧問先のフォロ?に回ろうとした点です。
 つまり担当者とは別に自分がフリ?の立場で、担当先の各種相談があった際に担当者のフォロ?に回ったり、不定期に顧客を訪問し顧客全体をフォロ?しようとしました。
 しかしこれも職員にとっては非常に不評でした。何故なら私の担当先が各職員に割り当てられてしまった結果、各職員はそれぞれ数件担当先が増え忙しくなる一方で、職員から見ればいくら全体を見るとは言っても、私は担当先を外れ自分だけ楽をしているように映ったからです。
 この点についても、私はその意図を一通りしか説明しませんでした。当時の私からすれば作業日報の件にせよ、この担当先の割り振りの件にせよ,一通り説明すれば当然職員は分かってくれる、まして職員の方々とは数年来の付き合いがあるのだから、と思っていました。
 もう一つ担当先の割り振りで困った事態が発生しました。
 これも会計事務所ではよくあることなのですが、顧問先の側が担当者の変更を極端に嫌うことがある点です。
 顧問先からすれば、慣れ親しんだ担当者の方が良いに決まっています。銀行員のように他店への転勤があり、担当者そのものが支店からいなくなってしまうのなら、仕方がないと諦めてくれるのですが、前担当者は事務所に居るのですから、なぜ自分だけが担当者を替えられたのか。見くびられたのでは、と疑心暗鬼になってしまうケ?スが多いのです。