事務所通信
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勤務税理士時代を回顧する その17 [勤務税理士時代の回顧]

2008-08-10

 この点については私も十分察知していたので、新担当者と私とが同行し、事務所の事情を説明した上で、お客様には決してご迷惑をかけないよう十分な時間をかけて引き継ぎを行い、また私も当分の間新担当者とともに業務をしながら徐々に移行してゆく旨を説明したのですが、それでも心配したとおりいくつかの顧問先からは、クレームの声が挙がりました。
 そうかと思えば、ある顧問先の社長は事情を説明したところ快諾とは行かないまでも、事情を察し承諾してくれたのですが、その後がいけない。
 新担当者のやることなすことにケチをつけ、結局新担当者も共に謝りに出向いたのですが、そこで初めて新担当者を認めない姿勢を明らかにしたのです。
 これには困り果ててしまいまして、当分の間新担当者と私が二人でその顧問先の巡回監査を受け持ちということで話がまとまりかけ、やれやれと思ったらもう一波乱ありました。
 それは新担当者がヘソを曲げ、自分はその顧問先には行きたくないと言い出したのです。
 そんなワガママを認めたら、他の担当者にも示しがつきませんから、これは一大事とその担当者を必死になだめすかしましたが、結局ダメでした。
 その新担当者は、事務所経験も2年と浅くまた若かったせいもあり、その顧問先に何度となく注意されているうちに、すっかり嫌気がさしてしまい、その社長に対する苦手意識が自分の気持ちの中で一杯になってしまったようです。一種のトラウマ状態ですね。
 そんなこんなで、当初は私が一切担当先を持たず、全顧問先を広く見るという方針は、半年にして早くも崩れました。
 副所長に就いた時には、勿論中間管理職は初めての経験でしたが、何とか出来るだろうという慢心がありました。
 その理由は、I事務所でI先生を除いては、税理士は私だけだったからです。
 副所長になる前にも、新入職員などに何度となく仕事を教えていましたから、教える職員の数が増えただけと楽観視していました。
 しかしいざ副所長として約10名近い職員を指導していこうとすると、とても多勢に無勢でとても一人では太刀打ちができません。
 前にも触れましたが私より古参の二人の職員を味方につけてから、新体制の導に踏み切れば良かったものの、自分の考え方、やり方にはある程自信を持っていましたから、自分一人で改革を断行して、結局は職員から総スカンを喰らって、自滅した状態でした。
 特に二人の古参職員が、私の考え、やり方を理解してくれないどころか、反抗の急先鋒に立ったのは意外でしたし、大いにショックでした。
 個人的には二人とも良い人で、人間関係もそれまでは良好でしたから、まさかここまで反抗されるとは思っていなかっただけに、大いにへこみました、と同時に人間不信になりました。
 その時I先生に事前に言われた言葉が頭をよぎりました。
 「会計事務所の職員は、一匹狼タイプが多いから十分にやり方には気をつけなさいよ。」
 まさにI先生の懸念したとおりの結果になり、私の見通しの甘さ、社会経験のなさがモロに出てしまって、穴があったら入りたい心境でした。