事務所通信
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勤務税理士時代を回顧する その20 [勤務税理士時代の回顧]

2008-08-22

 ブログ投稿が一週間以上空いてしまいました。
それは、8月13日から21日まで、鼻の手術で入院していたのが原因です。
今回が初めての入院でしたが、入院生活についてはまた別の機会にブログでコメントしたいと思います。
勤務税理士時代の回顧は今回で20回にも及ぶ長編連載ですので、飽きてきた方もいらっしゃるとは思いますが、あと2?3回でこの連載も終わりますので、もうしばらくお付き合い下さい。

 当時の私は、所長と職員との間に入って、所長の考え及び意向を職員に伝え、事務所内部を統率するという副所長としての役割を全く理解しておらず、事務所内部の運営は全て自分に任されたものと勘違いをしていました。
 従ってあくまでも自分のやり方にこだわり、それがうまくいかないと見るや途端に、一担当者に逃げ込んでしまうという最悪の行動をとっていました。
 そうした私の体たらくをじっと観察されていたI先生は私を諭すように言いました。
 「小池さん、やっぱり私の思った通りになったでしょう。会計事務所の職員を使いこなすのは、一筋縄では行かないのよ。」
 まさに先生の言うとおりでした。
 と同時にそれを知ってからは、もはや職員を教育するのは無理と判断し、職員教育を諦めてしまったのです。
 いやはや若気の至りとは言いながら、あまりにも稚拙で身勝手、極端な己の行動に我ながら呆れかえるばかりです。
 今うちの事務所でやっているISO9001とか作業日報などは、i事務所時代の苦い経験をもう二度と繰り返すまいという決意の下に始めたものです。
 失敗の経験が今生きているという点では良い経験をしたということになるのでしょうが、i先生に多大なるご迷惑をおかけした上で今があるのですから、大変にバツの悪い思いは消えません。
 ただ一つだけ自分のことを褒めるとすれば、その時点、その時点で自分の気持ちに嘘はつかなかったことです。未熟な自分ではありましたが、その時点での自分の能力を最大限に発揮したつもりです。
 精一杯やったからこそ失敗すれば大変に悔しい思いをし、何故失敗したかを何度も考え、次には雪辱を期す。そうした経験が大事なのではないでしょうか。
 失敗は誰だって厭だし、好んでする人は一人もいないでしょう。でも人間は否が応でもどこかで失敗をするし、修羅場を経験せざるを得ないのです。

 その時にどう失敗と向き合っていくか、だと思うのです。

 確かにあの当時の私は周りをよく見ず、己の狭い見識にこだわつて事務所を混乱させるという大失態を犯しました。それどころか挙句の果てに開き直り、実質的に副所長としての仕事を放棄するという暴挙に出ました。
 あの時逃げたことは事実です。しかしあの時点での自分の管理能力では到底職員を抑えきれない、あの時に自分が事務所に対して出来ることは、ひたすら一件でも多くの担当先の監査業務をこなしていくことだと心底思っていましたから、結果的に副所長としての業務を放棄したとしても、仕方がなかったと思っています。
 元々管理能力がないのに俄か勉強で管理能力が身に付くほど甘いものではありません。
 ですから捲土重来は期すけれども、あの時には到底できなかった。
 職員が入れ替わり立ち替わりしていましたから、お客様にご迷惑をかけないためには、ひたすら今目の前にある仕事を処理していくしかなかったのです。本当にあの時は、片や事務所内部を束ねて安定化させていく仕事と、中途退職職員の担当先を引き継いで月次監査および決算に遅れを生じさせない担当者としての仕事の挟間の中で、もがき苦しんでいました。