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勤務税理士時代を回顧する その19 [勤務税理士時代の回顧]

2008-08-13

 そんな状況でしたので、私がI事務所の副所長になってからは番頭としての内部統制が行き届かず、その結果事務所全体が雑然としてしまいました。
 I先生はT、I先輩の退出による戦力ダウンを埋めるべく、税理士試験合格者や税理士試験一部科目合格者を次々に雇いましたが、逆にこうした人たちは仕事に関しても自分流のやり方を持っていたため、かえって私の提唱する業務の標準化に入所した当初から大いに反発し、これも事務所の内部が混乱した原因の一つとなりました。
 尤も元をただせば、私の管理能力の欠如が最大の原因でありますが...。
 I事務所もT、I先輩がいらっしゃる間は、職員の入れ替えも少なく安定した事務所でしたが、私が副所長になってからは、退職者も多くそれに伴う職員の補充も当然ながら多くあったため、事務所が落ち着かないことこの上ありませんでした。
 やはり事務所全体が落ち着かないと、その雰囲気も職員全体に波及し、職員一人一人がいつもピリピリしていて、一人ひとりが人間不信に陥ってしまったようで、大変に雰囲気が悪くなりました。
 ただでさえ会計事務所の職員は一匹狼タイプが多い上に、こうした入退職者が相次ぐ落ち着かない事務所では頼れる者は己のみ、ということになりますから、ますます職員一人一人がタコツポ化する、つまり自分たちの殻に閉じこもり、自分の仕事にのみしか興味を示さないようになってしまったのです。
 そんな状況下で私はなす術も知らず、副所長の役割を放棄し、自分の担当先への業務に逃げ込んでしまいました。
従って入ってきた職員の指導もままならず、彼らは自分たちのことしか考えませんでしたから、事務所は大荒れ状態が長く続きました。それは私が辞めるまで5?6年も。
 ある人に言われました。会計事務所で副所長が税理士というのは珍しい、と。
 私は最初、その言葉を褒め言葉といて受け取っていたのですが、それが逆の意味だと気がついたのは大分経ってからでした。
 その意味するところは、税理士で自分が独立できる立場となると、副所長、すなわち番頭のポストにはいずれ我慢できなくなる。税理士の資格のない職員であれば、所長に対して滅私奉公ができるだろうが、税理士登録をしている補助税理士となると、所長とうまくいっているうちは良いが、意見が対立した時に、自分のやり方、考え方をなかなか曲げようとせず、事務所に二大勢力が発生することとなり、事務所全体に不協和音をもたらすこととなる危険性が高い。というものです。
 まさに私のケ?スがそれにピッタリあてはまっていました。