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広大地に関する考察 その2 [広大地についての考察]

2008-09-04

 広大地に対する評価の減額については、平成15年までは開発想定図面などを相続税の申告書の添付資料として税務署に添付して、個別に潰れ地の面積を算定し、その潰れ地の部分だけ評価を下げるという方法を採ってきました。
 しかしこのやり方ですと、不動産鑑定士や測量士、土地開発業者等に依頼し、開発想定図面を作成できるお金のある方と、そうでない方とで評価に差が生じてしまうこともありますし、また人によって開発想定図面の引き方もマチマチであって、評価額を下げたいがために、位置指定道路部分の面積を増やす納税者もいることから、評価の公平性及び課税の公平性が保てないことを理由に、国税庁では平成16年1月1日以降の相続から、広大地に対する評価の方法を統一しました。
 すなわち、財産評価基本通達24?4を新設し、広大地の評価計算方法を明確にしました。

 これはこれで大進歩と言いたいところですが、ここからまた別の懸案事項が出てきました。
それは、広大地に該当するかどうかの可否判断であります。

 この24?4の通達での算式は、非常に減額割合が高く、今までの開発想定図面での減額割合よりもはるかに減額割合が高くなっています。ということはそれだけ納税者有利ともなっているわけです。
 当初この通達でできた時には、物納を排除するためとも言われました。
 と言いますのは、相続税を現金ではなく土地で納付する場合、つまり物納の場合、その収納価額というのは、相続税申告にあたってその物納対象土地を評価した価額です。
 ということは、広大地について思い切って評価額を下げることによって相続税は下がる、これは納税者有利であるけれども、この広大地を物納しようとする場合には、その土地の収納価額も相当下がっていますから、広大地で納税しようとする納税者にとっては大変に不利になります。
 物納については、平成18年1月1日以降の相続から、物納要件が大変厳しくなったこともあり、この広大地規定と相俟って、大変に狭き門となってしまいました。

 いずれにせよ、評通24?4の広大地評価の規定は当初から、税理士の間でもその取扱い、課税当局の考え方等について大分波紋を呼んだ規定でした。
 何故なら減額割合が他の評価通達のそれらに比べて高すぎる。
いくら割り切りと言っても最大65%まで評価を下げる規定は、他の財産評価基本通達でも見当たらない。
 だから余計にこの規定が適用できるか否かによって、それこそ評価額ひいては相続税額に雲泥の差が出てしまう、取り扱いが大変に怖い規定となってしまったのです。