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広大地に関する考察 その3 [広大地についての考察]

2008-09-05

 尤も、広大地について思い切った減額割合を規定した理由には、この規定が、財産評価通達15?20?5までの規定に代えて適用されることにもあります。、
 つまり奥行価格補正や不整形地補正、無道路地、がけ地などの様々な補正(簡単に言えば、使い勝手の悪い土地について、その悪い度合いに応じて、評価を減額していく要素です)は、広大地との選択適用になっていますので、逆に言えば広大地補正を使うと、これらの補正要素は使えないということです。
 さらに広大地は宅地に対する評価の減額要素ですが、市街地農地や市街地山林といった宅地に転用するには造成費がかかる農地、山林についても、広大地補正率の中に宅地造成費は織り込み済みであるとして、重複適用することはできない、ということです。
 ですから、思い切った減額割合を採った広大地補正率の方が、さまざまな減額要素を組み合わせて土地を評価するやり方よりも土地の評価額が低くなり、納税者にとって有利になるケ?スが圧倒的に多いと思われますが、
他方、同じ面積で広大地がとれる土地が二つあったとして、片方は平坦な宅地、片や起伏、傾斜がの激しく、また接している道路幅も狭い市街地山林であっても、広大地補正率を適用する限り、両土地の評価額は同一というおかしな結果が出てしまいます。
 
 結局計算の簡便性、評価の統一性を目指した結果、あまりにも多くの軽減要素を一つの通達に詰め込みすぎたので、かえって土地の個別性が損なわれてしまったのです。
 これで評価の公平性、課税の公平性が保たれていると言えるのでしょうか。
 広大地はそれでなくても文字どおり広大な土地であり、1?あたりの評価額が違えば全体の土地評価額も数百万いや数千万円変わってきます。当然その結果相続税額も数百万円から数千万円変わってくるのです。

 評価の世界は絶対値がなく、人によって評価がマチマチであり、それを何とか評価を統一させようと国税庁も苦慮されているのは分かりますが、あまりにも思い切った割り切りに実務家として、ビックリしています。
 それでもこの財産評価基本通達24ー4が規定されている以上、これを適用できるならば、当然適用の可否を判断し、合法的範囲内で少しでも納税者有利の姿勢で実務処理することは、税理士に与えられた当然の職責ですので、粛々として今後とも実務に邁進してゆく所存です。、