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相続税の大改正に思う その4 [相続税の大改正について]

2008-09-13

 何故私がムキになってこれに異議を唱えているのかと言えば、この大改革は、ひいては家族、「家」に対する考え方も大幅に変えてしまう、極めて社会的影響力の高い改革であるからです。

 一言で言えば、この遺産取得課税方式が導入されれば、間違いなく、
「家」の崩壊は加速され、日本は今以上に個人主義が進むであろう、ということです。

 私の個人主義、「家」に対する考え方は、拙稿のアーカイブブログである、「家族制度について」及び「農業のあり方について」で詳しく述べています。
 日本における個人主義が、ルソ?ではありませんが、人々に真の自由と繁栄をもたらす理想の制度であれば、私も大賛成です。
 しかし、今の日本が病んでいることを否定する人はいないでしょう。

 大家族制は否定され、核家族化が進み、その構成員の少ない核家族ですら、携帯電話を始めとするインタ?ネット社会の到来、夫婦共稼ぎ、高学歴を要求するあまり子供たちの幼少からの塾通い、など様々な要因が重なって、親子の断絶が進行している現代社会がもたらす社会問題の数々は連日新聞紙上を賑わし、もう誰も驚かなくなってしまう位日常茶飯事化しています。

 これらはすべて「断絶」がもたらす恐るべき弊害です。

 ここまで個人主義化してきて、国はまだこの上なお個人主義化を進めようというのでしょうか。
 ルソ?の唱えた自由主義は、確かに抑圧された社会からの個人の自由を訴えたものですが、その当時の自由と今の自由とでは、その自由度が圧倒的に違います。
 日本テレビ系列で土曜日午後10時から、「エンタの神様」というお笑い番組があり、芸人の最後に決まってイヌイという芸人が出てきて、フォークギタ?を爪弾きながら、「自由だあ?。」と叫ぶのですが、まさに今の日本は何をしても自由なのです。

 「自由」という言葉で何でも許されてしまうような響きが、「自由」にはあります。
それで納得していまうような風潮が、今の日本人にはあります。
 しかし果たしてそれを許しておいて、放置しておいてよいのでしょうか。