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相続税の対策について その2 [相続税対策について]

2011-08-17

 相続税の申告のご依頼を受ける場合、ホ?ムペ?ジや農協からの紹介等全く面識の
ない方からのご依頼もあれば、何十年来お客様でいた個人がお亡くなりになって、申告
を依頼される場合の2通りあります。

 勿論やりやすいのは後者です。長いおつきあいの中でそのお客様の家族構成、性格、
ご家庭の事情などがあらかじめ分かっているからです。

 初対面の方から相続税の申告依頼を受ける場合にはそうした事前情報はありません
から、当然その亡くなった方のご家庭の事情、性格、家族構成、亡くなった原因などを
よくお聞きしてからではないと、仕事には入れません。
 それでも10か月という短期間で申告まで持っていかなければなりませんから、お客様
に関する情報をどの程度知りうるか、というとはなはだ疑問は残ります。

 何しろ相続というのは、亡くなった方が一生かけて形成、蓄積した財産をもれなく把握
し、亡くなった方或いはご遺族のお考えに基づいて遺産分割していくわけですから、その
膨大な作業をわずか10カ月でまとめあげるのは至難の業であると思います。

 また相続が発生してから申告のご依頼を受ける場合、もう一つ困ったことがあります。
ご遺族が亡くなった方の財産の総額を把握していない場合が多く、私がおおまかな資料
を頂いて、概算の相続税額をご説明すると、ビックリされるケ?スが多いということです。

 つまりご遺族に心の準備が出来ていない状況で、いきなり税額は大体これ位です、と
説明されても確かにビックリされてしまうのもやむを得ないこととは思います。
 ですから私は、訪問時或いは資料収集時にできるだけ概算であっても、おおまかな税額
を早めに申し上げるようにはしています。

 それでも、相続税額の多さにビックリされ、何しろ税金を出来るだけ安くして下さい、と
懇願されるケ?スも多々あります。

 相続開始後にできる相続税対策は勿論ありますが、やはり病気と同じで末期を迎えた
患者さんには、対症療法や保存療法しかできないように、根本的な相続税対策は当然
出来ません。
 第二次相続を見据えた対策を中心に遺産分割の仕方を考えていくとか、遺産分割の仕方
によって土地の評価額が変わる場合があるので、それをうまく利用するとか、対策は限られ
てきます。
 つまり相続税対策の選択肢が狭いということです。

 それに比べて戸主がとてもお元気で、まだまだピンピンしている状況の中で、相続税対策
の相談を持ちかけられた場合には、次のメリットがあります。
 
 ?十分に時間がありますので、無理のない相続税対策を立てられる
  つまり相続税対策の選択肢が非常に広い
 ?ご家庭の事情、戸主のお考えを十分に反映した相続税対策が可能となる
 ?概算の推定相続税額が事前に分かるので、ご家族の方々も十分余裕を持って相続に
  臨める
 ?相続前に処分すべき財産があった場合、特に土地などは相続後の限られた時間の中
  での売り急ぎをする必要がなく、公平な条件下での処分或いは資産の組み換えが出来る
 ?お客様とよくお話し合いをして、お客様がご納得された上での相続税対策であるため、
  後から相続人間でも揉めることが少ない

 時間があれば無理せず、かつ十分効果的な対策が可能になる、ということです。