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税務研修報告?土地の評価単位その3 [研修受講報告 税務]

2008-11-01

 宅地の評価単位が権利関係の差によるのに対して、雑種地の場合は、農地、山林と同じく利用単位ごとに評価単位が分かれます。

 ちなみに相続税評価上は地目が9区分に分かれており、雑種地はその9番目の地目となっています。
 一方、不動産登記事務取扱手続準則第68条に規定する(地目)の区分は23ありますが、これと相続税評価上の地目を突き合わせしてみますと、何と相続税評価上の雑種地は、不動産登記上の地目のうちの10区分にあてはまることになります 。

 相続税評価上雑種地の評価は、その雑種地と状況が類似する付近の土地に比準して評価しなさい、しているのは、こうした雑種地の守備範囲が広いことがその理由となっています。

 ですから実務上雑種地を評価することはかなり難しく、そもそもどういう地目の土地に類似しているかを現地確認したり、対象の雑種地がどの地目の土地の価格に最も影響を受けているかなど調査するなど、近傍地の選定に大変気を遣います。

 もう一つ土地評価上で大変気をつけなければならないのが、地目の判定です。
 登記地目が現況と異なっているのは日常茶飯事ですが、本来現況地目を表示してある固定資産税評価証明書とて、その現況と異なっているケ?スも少なくありません。

私が過去に申告してきた相続税申告事案で、そうしたケ?スが2件ありました。

 一つは現況が畑なのに固定資産税上の現況地目は山林でした。その理由は、市役所の担当者が現地を検分した時に土地に植えられていた樹木を雑木と判定したために、山林で課税してきたが、実際にはその木は栗の木であり、被相続人は栗を出荷していたのですから、当然相続時の現況は畑となります。

 もう一つは自宅の前の土地が、何十年前から固定資産税課税上は現況畑とされてきたが、相続時の現況を見る限り、庭石が置かれ、池があり、植木は観賞用に整備され、どう見ても自宅の庭にしか見えませんでした。どうして畑として長い間課税されてきたかと相続人に聞いてみると、何十年か前に自宅をもともと畑であった場所に建て替えた。自宅の前も当初は畑であったが、亡くなったお父さんが少しずつ植木を植え、庭石を置き何年間かかけて庭に改造していった、とのこと。

 市役所の担当者も足しげく現地を廻っているとも聞きましたが、どうもこの土地は検分されずに放置されてしまったようです。
 それにしても今は航空写真の精度も上がっているので、どうして市役所で気がつかないか疑問ですが、ともあれ相続税の申告では、当然庭の敷地も含めて一団の宅地として申告しました。