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税務研修受講報告?土地の評価単位その2 [研修受講報告 税務]

2008-10-31

 この規定は、これらの一団の土地が、価格形成要因から判断して一単位として評価することが妥当であり、合理的であると考えられることから設けられたものです。

 また結構迷ってしまうのが、宅地と雑種地との評価単位の考え方の相違です。
宅地は、実際の利用状況をあまり考慮せず、権利関係の差異により評価単位が分かれるというのが原則です。
 つまり使用収益権に制限があるか、ないのかによって評価単位が分かれるということです。

 従って、自宅の敷地と、それに隣接した子息にタダで貸している土地がある場合には、利用状況としては2区分ですが、両土地ともに自用地つまり権利関係に制限がある土地ではありませんので、全体を1区画として評価します。

 一方、1筆の土地の半分が自宅の敷地、残り半分が貸家の敷地となっている場合には、同じ筆でも1単位とせず、権利関係の強弱で判断しますから、利用制限のない自宅の敷地と、利用制限のある貸家の敷地とは別の評価単位となります。

 また評価の時期は課税時期ですから、原則として課税時期の現況で判断します。

 よく相続の後、相続した土地を売却したり、他の地目に転用したりすることがありますが、この場合でも課税時期は相続開始の時点ですので、その時の現況で判断します。従って相続後の後発事象は考慮しません。この辺りもうっかりすると間違えることが多いので、気をつけなければなりません。

 ただそうはいいながら、課税時期では空き地になっていて一体利用されていなかったために、その所有者の有する土地の現況で土地の評価をしたところ、課税庁から否認された判決例がありました。

 これは浜松市駅前の土地で、土地が区画整理事業地内に入っており、納税者の有する土地はその時点では空き地でしたが、他の多くの地主の土地とともに将来駅ビルの敷地予定地に入っていたというケ?スです。
 このケ?スでは、昭和63年の一審から平成6年までの最高裁判決まで一貫して、課税庁側が勝訴しました。

 その理由は、数筆の宅地が課税時期において未利用の空閑地で、現実に一体利用されていなくても、近い将来それらを1画地として利用することが現実的に確定しているような場合にあっては、その数筆の宅地が1利用単位となっている1画地の宅地を構成するものとし、よって各筆ごとに評価するのではなく、全体を1画地として評価するのが相当である、ということです。
 
このような判例が出てくると、課税時期の現況で将来の後発事象は考慮しないとしながら、その例外もあるということで、一体どっちなんだと言いたくなります。
 やはり判例の動向にはいつも気を配る必要があることを痛感します。