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税務調査について その2 [税務調査について]

2008-07-10

 言うまでもなく税務調査というのは、顧問先の処理した税務処理が適切かどうかを実地調査されるものです。 法人、個人の事業規模、売上の多寡、利益の多寡、繰越損失の有無、前期以前と比べて特に変動した点の有無、脱税要注意業種かどうか、前回税務調査をしてから何年経過したか、などを総合勘案して、税務署(大規模な法人の場合国税局が管轄する場合がある)が任意調査する日程を決め、まず税理士に通知してきます。現金商売で実態を掴むためにまれに無予告調査も行われますが一般的には、顧問税理士に通知した上で、顧問先と調査を受ける日取りを調整して、調査を受けるという段取りです。
 税務調査は通常、申告書を税務署に提出してから3?6か月経過してから通知されるのが一般的なようです。また税務調査の頻度は我々税理士の常識では、法人は5年に一度、個人は10年に一度程度ですが、脱税が多い業種であったり、前回の調査で売上計上漏れなど悪質な税務処理をしていたり、社業が急激に拡大していたり、会社の規模が大きく特別調査部門いわゆる特管管轄であったりする場合などは、3年に一度必ず税務調査を受ける法人、個人もあります。
 一旦税務調査が入ると、通常調査する年分は直近3年度分です。ただ税務調査をしてみて悪質な取引事例が疑われる場合には5年間分調査することもあります。
 ちなみに国税の消滅時効は7年間ですので、前回税務調査を受けたからといって、そこで調査を受けた年度分までは無罪放免となって二度と税務調査を受けない、というものではありません。あくまで国税通則法による国税の消滅時効は7年間ですから、前回調査から今回調査までの間に税務署側で何らかの重大な情報を掴んで、過去に行った年度についてまた別の観点から調査を行う可能性はありますので、安心はできません。
 請求書、領収書、元帳、各種帳表の法定保存期間が7年間になっているのは、消滅時効と期間を合わせる意味だと思います。
 従って過去7年間は帳簿類を蒸し返して見られる可能性がありますので、くれぐれも破棄することのないようご注意願います。書類を破棄するということは、自分の作成した決算書の作成の根拠となる資料を破棄するわけでして、もし捨ててしまったら、決算書作成の数字的根拠を訊かれても返答が出来ないこととなります。申告納税制度にあって自分が作成した決算書の作成根拠資料を捨てるということは、まさに自殺行為です。自らの無実を立証するはずの証拠資料を自ら捨てるのですから。
 ただそうした極めて悪質なケ?スを除いては一般的には、調査年度は過去3年分です。
 税務調査の手法は業種によって、また顧問先ごとの特色によって多少異なるでしょうが、一般的には次の手順で行われているようです。
 ?売上の調査  計上漏れの有無、〆後売上の計上の有無など、
 ?仕入、外注費の調査  架空仕入れ、外注費計上の有無、売上との対応関係など
 ?棚卸資産計上根拠の確認
 ?人件費の調査  架空人件費計上の有無、役員報酬について過大かどうか、支給状況の確認など 特に最近新設された法人税法34条、35条に基づく調査
 ?その他経費の調査  交際費及び隣接経費の調査、消耗品費、修繕費等の費目の中に資本的支出のものがないかの確認、支払リベ?トの有無など、  
 ?貸倒損失の調査  貸倒処理が適切かの確認、
 ?消費税の調査   消費税計算方法が適切か、課税、非課税、不課税の区分など、 

私は、お客様には損益計算書の上から順番に調査が行われるのが王道です、と説明しています。