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税務調査について その3 [税務調査について]

2008-07-11

 税務調査は任意調査と強制調査(いわゆる査察っていうやつです。映画「マルサの女」は超有名になりました。)とがありますが、超悪質なケ?スを除いては殆どの調査は、任意調査です。
 しかし任意調査とは言っても、税務署員は質問検査権という国家権力に基づいて調査をするわけですから、実質的には強制調査に近いと思います。
 税務調査は申告納税制度に立脚し、その実効性を高める意味で国にとってはなくてはならない制度ですが、来られる側つまり納税者側にとっては、最低でも3年間、最長では7年間も前の取引をほじくり返されるのですから、たまったものではありません。
 この変化の激しい世の中にあって、明日をも見えない状況の中、何年も前に行った取引についてその是非を問われても、既に記憶の彼方にあったり、または例えその数年前の取引が税務上問題であり、その取引にかかる処理について税務署から否認を受け、その結果増差税額が生じたとしても、下手をするとその会社が今は資金繰りが極端に悪くなっていて、税金の支払い能力がなくなっているかもしれません。
 不正、不適切な処理をその場で指摘されれば、直ちに訂正するし、また税金も何とか納付できますが、数年先になって指摘されても何のことだか忘れてしまったり、または当時なら払えた税金も今は支払う能力がないことも現実に多々あります。
 申告納税制度を採用する以上仕方がないのかもしれませんが、納税者にとってはとてもつらい制度です。
 我々税理士にとっても、数年先に税務調査を受けるまで、今処理した税務、会計処理が適切であるかハッキリしない、というのはとても困ります。何故なら先にも触れましたが、お客様はその取引に関する処理が不適切であるならば、その場で白黒ハッキリさせてほしいのです。
 特に合法であるか非合法であるかが不鮮明ないわゆるグレ?ゾ?ンにある取引に対する税務処理などは、数年先でないとその是非が分からないとすれば、誰だって自分有利に考えようとします。今ここでダメと言われれば諦めもつきますが、今の時点では良いか悪いかハッキリしないのであれば、当面自分有利の処理をしたがります。
 そしてその結果、数年先の税務調査により指摘をされ否認されると、お客様にとってはその取引に関する処理はとっくに終わったことであり、後になって蒸し返され、税金の追徴を受けることは大変にショッキングな出来事なのです。
 とても損をしたような(勿論税金を追徴されれば、当初に払うべきであった税金そのもの、つまり本税以外に過少申告加算税や延滞税といったいわゆる附帯税もついてきますので、当初からキチンと適正申告をしていた場合の税額よりも附帯税の分だけ、多くなってしまいます。)気分で大変に不満を洩らします。