事務所通信
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税理士制度の今後について その3 [税理士制度の今後について]

2008-07-07

 次に議題に挙がったのが、研修制度の現状と改善策についてでありました。
 わが税理士会では、年間36時間研修が一応義務付けられています。が実際には努力目標に過ぎません。(この点に関しましては、だいぶ前の私のブログ「研修受講について考える」で述べていますので参照して下さい。)
 朝倉会長も研修制度について概略説明された後、税理士会では現在会場型の研修が殆どであり、適当な規模の会場を用意するのがなかなか難しい現状、及びより良い講師による研修受講の機会をより増やすための方策として、東京会の主催する研修に参加できるよう東京会に呼びかけるなどしていることを説明されました。
 また会場研修に参加できなかった人のために、ビデオやCDでの研修を支部主催で行うことによって研修と認めるなど研修受講について柔軟な姿勢で対応することも述べられました。
 一方、公認会計士会では、研究型の研修も研修の一部に加えており、CDやビデオを使った各支部での研修も積極的に推奨しており、会員が一堂に集まる会場型よりも、各会員のペースに合わせて受講できる研修システムを考えられているようでした。
 また公認会計士会では、各会員に研修受講カ?ドを持たせ、研修受講結果を本部ですべて把握しており、1年間の受講時間、研修受講内容結果通知が各自に送られ、規定技官に満たない会員には勧告通知がされているようです。
 この点については税理士会はまだ受講報告は会員の自主申告に止まっていることから、バーコ?ドなどで受講した研修を本会が把握するシステムの構築を進めています。
 両会の研修受講の違いを聞くと、公認会計士会の方が自分の時間に合わせて受講できる点で自由度が広い、また自己研究型の研修も、会場型のように一方通行で終わらない研修という点で公認会計士会の方が創造性が高い、その代わり公認会計士会では、研修時間及び研修内容についてのチェックが厳しい、と感じました。
 両者の違いについてあえて生意気な事を言わせてもらえば、税理士会は国によって作られた法律や通達に沿って粛々と税務実務を遂行していくということから、税法の趣旨や解釈に対する理解を深める必要から、講師による説明を中心とした会場型が中心になるのでしょう。
 一方公認会計士会では、上場会社に対する監査業務が主たる業務であり、監査に対しては一定のル?ルややり方が存在するものの、一方でかなり創造性を要求されるようですから、研究、自己研鑽型の研修も積極的に認めているのではないでしょうか。
 また研修の義務化についての考え方も大分違っており、税理士会は緩く、公認会計士会では、厳格です。この点については、私は間違いなく公認会計士会のように厳格であるべきと考えております。何といっても我々は国家資格を付与されているのですから、職責を全うするためには業務品質の維持及び資質の向上は当然のことであり、決められた研修時間に満たない会員にはより厳しく接するべきだと思います。 
 ただ公認会計士会では、研修の範囲をかなり広く考えており、総会出席も研修時間にカウントされるのにはビックリしました。総会は会の情報交換の場であり、それ自体が研修だからという考えです。
 勿論税理士会のイメージする研修は、税法についての解釈、理解を深める場と考えていますから、総会、定例会の会合は入っていません。しかし考えてみれば、総会等で税理士会の現状、方向性を議論する場も立派な研修であると考えることもできると思います。
 やはり他士業との情報交換により、自分たちの会の特色がより理解できるとともに他士会のシステムの良さを知りより刺激を受ける、という点で是非今後とも開催していただきたい、と強く思った有意義な両会のトップ会談でした。