事務所通信
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農家、農業のあり方について その9 [農業について考える]

2008-06-26

 再び農業の話しに戻ってコメントしたいと思います。
 農地の有効利用については、二つの問題があります。
 一つは農地から生み出される収益が低いため、農家経営そのものが成り立ちにくくなっている現実、そしてもう一つは農業自体が構造不況業種であるために起こる後継者難の問題です。
 その結果、日本全国で余っている農地が至るところで見られる一方で、日本の食糧自給率は39%まで低下しているという皮肉な現実。
 つまり農地はあれど、農業従事者が絶対的に不足している何とも勿体ない状態です。
 考えられる手としては、ひたすら農業従事者を増やすしかありませんが、ただでさえ低収益の農業では、今の農家に後継者が増えることは到底期待できません。また他業種からの転職者が新たな農業の担い手となる、という考えも農業自体が十分採算性の合う事業に転換しなければ、これも非現実的な話です。
 残るは大手資本の参入により、農地の有効活用を一挙に進める方法です。
 ただ大手資本の参入によって、中小零細農家が一網打尽になる危険性があります。ただでさえ少ない農業従事者がさらに減ってしまうことも予想されます。
 それと農業については、資本主義になじまない部分が多分にあるので、国と民間大手資本とが共同出資して農事法人を作り、地元の農家の農地を一括借上げし、さらに地元の農家の方を雇用して、大規模農業を行う手法はどうでしょうか。
 国と民間大手資本との出資割合は、国が50%以上持つことによって経営が安定し、場合によっては国の持つ株式を、一般の国民に引き受けてもらう。そして出資者には一定割合の配当を約束する。
 私は経済が専門ではありませんのでよい智恵は浮かびませんが、ともかく日本全国に点在する遊休田畑をフルに活用して穀物、野菜などを生産し、少しでも食糧自給率を上げる努力が早急に必要だと思います。
 と同時に、輸入農産物に関税をかけ、国内農業が十分に再建されるまで、国が手厚く保護していくことが必要不可欠であると思います。 
 貿易摩擦の問題については交渉が難航することが予想されますが、事が事つまり食という人間が生きていく上での根幹にかかわる問題だけに、多少の不自由、多少の不都合は甘んじて受け入れなければならないのではないでしょうか。