相続税対策について その8 [相続税対策について]
結局前回の説例では、賃貸マンション建築前と、その後とで土地と建物の評価額
に大きな差が生じました。
? 土地の評価額 対策前 1.5億円→ 対策後 1.23億円 差額△0.27億円
? 建物の評価額 対策前 0 → 対策後 1.47億円 差額+1.47億円
? 借入金評価額 対策前 0 → 対策後△3 億円 差額△3 億円
合計 対策前 1.5億円→ 対策後△0.3億円 差額△1.8 億円
何故もこんなに差が出るのでしょうか。ご説明します。
?土地について評価額が下がった理由は、簡単に言えば土地に利用制限が加わった
ということです。
つまり、月極め駐車場用地であった時は、確かに土地の上を車両置き場の目的で貸し
ていましたが、借りている車両の持ち主の権利は薄く、地主が1?2か月先にこの土地
を使うから出ていってくれ、と言われると借主は出ていかなければなりません。
逆に地主の側からみれば、いつでも自分の好きなように使える土地ということで、他の
人に邪魔をされることがありませんので、土地も100%で評価します。
こういう土地を自用地といいます。
(この駐車場用地をアスファルト舗装にしている場合には、舗装路面を剥がす工事に
お金はかかりますが、ここで大事なのは、土地使用に あたって他人の権利が入って
いないということです。)
一方、この土地上に賃貸マンションを建てて貸し始めますと、入居者つまり借家人は
借地借家法で保護されますので、地主が勝手に入居者を全部立ち退かせることは出来
ません。つまり地主は賃貸マンションを建てて、家賃収入を得る代わりに、自分の土地の
上に他人の借家権が付着しますので、自分の土地でありながら利用にあたり、権利制限
を受けることになります。
こうした土地を貸家建付地と呼んでいます。
税法では、権利制限、利用制限に応じて評価額が下がることになっています。
この貸家建付地の場合、地主が権利制限を受ける割合は、借地権割合×借家権割合
で計算され、説例では、借地権割合60%×借家権割合30%=18%と計算しました。
その結果1?18%=82%の評価となりました。