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勤務税理士時代を回顧する その15 [勤務税理士時代の回顧]

2008-08-06

 事実、私が通っていたO簿記学校の勉強仲間に聞くと、税理士になりたいと思ったキッカケは、自分一人の力で独立開業できるから、という回答が最も多かったのです。
 やはりこの税理士業界は、税理士自身一匹狼的気質を持っている人たちが大半で、税理士予備軍と言われる受験生も、一国一城の主を目指すのが主な動機であることを聞くと、私のいうようにそもそもこの業界に組織を持ち込もうとする考え方の方が無理があるのかもしれません。
 考えてみれば、私たちの主な顧客層である中小企業の経営者の方々も、元はと言えば、会社で人に使われているのが厭で独立したとか、組織の中にいると自分が窮屈でたまらないから,思い切って自分の力を試してみるつもりで辞めたとか、そういう理由で独立し起業する方が多いようです。
 つまり最初から組織を考えているのではなく、自分の可能性を追求するためとか、人に使われるのが厭という理由で独立し、一生懸命仕事に励んでいく中で、徐々に会社の規模も大きくなっていき、気がつけばかなりの従業員を抱えていた、というケ?スをよく聞きます。
 私は人を使うには、その手始めとして組織論を十分学ばなければと思っていましたが、こうしたたたき上げの経営者の方々は、最初は一人あるいは家族で一丸となって無中で仕事をこなしてきて、忙しくなってくる中で、徐々に人を雇用し、授業員が増えていく中で、会社が組織の体をなしてくるというのが自然な会社の発展形態なのでしょう。
 社長が人を使いこなすのが苦手なタイプであっても、何人か社員を雇っているうちに、その中に独立志向ではないが番頭タイプの社員がいて、そうした人たちが会社の中で組織を段々と構築していくのでしょう。
 あまり最初から組織、組織と大騒ぎする必要もないようです。
 何より人間には、その時々に応じて役割を変えることができる柔軟性が備わっていますし、(尤も環境の変化に逆らい、変わろうとしない堅物の方もいますが、それは本人の気持ちが抵抗しているだけで、元来人間は環境適応力があるのです。)
 また自分が得手としない分野であっても、それを他人に補ってもらえば良いのです。あまり自分一人ですべてを解決すべく、すべてを背負い込まない方が良いようです。
 この辺が自分自身、理屈、理論から出発しすぎて、つまり頭でっかちで、行動が遅れがちになる欠点であるようです。全てを見通すことは所詮できないのだから、走り出してから考える、走りながら考えることが必要なのでしょう。これもまた頭では分かっていても、なかなか変えられない頑固な私です。