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これからの相続税対策 その1 [相続税対策について]

2011-09-18

 前回まで12回相続税対策について概略説明してまいりました。
ではこれからの相続税対策はどうあるべきか、について私の経験に基づいて
述べていきます。

 相続税対策の3要素は以下の通りです。
? 相続税軽減対策
? 納税資金対策
? 争族対策

 過去において特にバブル期において大流行した相続税軽減対策は、両刃の剣的な側面
が多分にあり、特に賃貸マンションの建築は相続時には効果を発揮するが、多額の借金を
背負った相続後はマンション経営で四苦八苦する危険性があるので、慎重な判断を要する。

 日本経済全体も少子高齢化の波ががいよいよ押し寄せ、経済全体が縮んでいます。
バブル期には会社経営も多角化戦略がとられ、所有にこだわり、含み益重視の経営が多く
採られましたが、
 デフレ期にはタコの足を引っこめるように、多角化、子会社展開を止め、本業一本に絞る経
営、所有よりもリ?スへの転換、ストック重視からキャツシュフロ?重視へと大転換しました。

 大企業であれば、その典型的な例として、所有にこだわったダイエ?の凋落、その一方で
モノを持たぬ経営でのヨ?カド?グル?プの大躍進が象徴的です。

 日本人の意識も大分変りました。土地神話が長く続き、土地さえ持っていればいずれ良い
ことがある、と信じて土地の所有にこだわった方でさえ、今となっては不良資産の土地の処分
に手を焼いています。
 土地の地価が下がった理由の一つには、土地を手放したい地主さんや会社という供給側が
多数存在する一方で、土地の購入を希望する側つまり需要が圧倒的に少ないという需給バラ
ンスが大幅に崩れていることがあります。

 重厚長大の価値観がこの20年で一転して軽薄短小へと劇的に変化したのです。
ストック重視からキャッシュフロ?重視への転換とも言いかえられます。
 
 私も昔は多少株式の売買を手持ちの小金でやっていたのですが、バブル期にはその上場
会社の株価は、当期の業績よりも、その会社がどういう資産を持っているか、つまり含み益の
多寡で大きく左右されていました。
 誰が考えてもおかしな話ですよね。いくら含み益があるからといって、会社所有の土地が例え
ば工場用地であり、本社の敷地であれば売るはずがないわけでして、含み益を評価して株価
が決まるというのは、まさにストック重視の考えに他ならないのです。
つまりその上場会社が営業活動を辞め、会社をたたんで精算するときに初めて不動産や有価
証券などの含み益が実現するわけです。

 そりゃ含み益が多くある会社はイザとなった時には株主から見て投資には安心感があるとは
思いますが、それよりももっと重視されるべきは、その会社の当期の業績つまり利益でしょう?
 それなのに含み益の多寡を重視して株価が決まること自体、本末転倒だと思っていました。
今の会社の株価は、当然のことですが、その会社の当期の業績及び将来性そして不良資産の
有無などを重視して形成されています。やっと当たり前の考え方に戻ったのだと思います。