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これからの相続税対策 その5 [相続税対策について]

2011-09-29

 そもそも土地所有にこだわる日本人の気質の根っこには、農耕民族の血が脈々と流れて
いるからだと思います。
 土地が生産の場であるならば、所有にこだわるのは当たり前の感覚です。

 日本全体としても平地の面積が日本の国土面積の約5%ほどしかありませんから、平地で
宅地を所有することにこだわるのも無理はありません。

 日本列島改造論を唱えた田中角栄首相時代(昭和49年前後)は日本の人口も飛躍的に
伸びていましたし、確かにインフラ整備も進んでいなかった。
 田中元首相は、日本国土全体の活性化を唱え、地域間格差を是正しようとしたのかも
しれません。
 あの頃は若者がどんどん都市部に流入し、地方の過疎化が進んでいましたから。

 時代が流れ、金の卵と言われ地方から流入した若者は、首都圏、中部圏、近畿圏に定着
し、そこで老後を迎えようとしています。
 結局地方に戻る人たちは少なく、地方の過疎化は一向に好転していません。
そこへ来て少子化が拍車をかけます。若者が少なくなった地方は少子化も相まってますます
人口、特に生産労働人口の減少に歯止めがかからない。

 一方首都圏などの都市部も団塊の世代がそろそろ老人世代に差し掛かり、こちらも高齢化
が急速に進んでいる。都市部においても非婚男女が増え結婚しても子供を多く作らない夫婦
が多いことから若年比率は低下しています。

 高齢化が進めば近くに医療施設や老人ホ?ムが充実した地域に住むことを望み、ますます
都市中心部に住む傾向が強まります。若者も地価の下落に伴い、通勤に便利なより都市中心
部への移住を希望します。

 ですから、地方はますます人が減り、首都圏などの都市中心部においても、より中心部近
郊に人が集中する傾向にあると思います。
 人口が拡大した時代にはド?ナツ現象で都市中心部から徐々に周辺に人口が拡大していっ
たその逆の現象が今起こっています。

 地方分権が叫ばれ、道州制の導入も検討されているようですが、首都圏集中を分散するの
は容易なことではありません。
 よほど国が勇気をもって地方に財源を移譲し、地方がそれぞれ活性化に向けて街づくりを
進めていくことがもちろん防災上も望ましいのですが、言うは易し行うは大変難しと思いま
す。