事務所通信
税務情報だけでなく、他士業の先生方からも有益な情報を頂戴し、
法律・労務人事・不動産・社会保険など幅広い情報をタイムリーに発信しています。
事務所通信 > これからの相続税対策について その3 [相続税対策について]

これからの相続税対策について その3 [相続税対策について]

2011-09-24

 不動産鑑定価額の算出手法には下記の3つがあります。

?取引事例比較法  これにより、比準価格を求める 
?収益還元法    これにより、収益価格を求める
?原価法      これにより、積算価格を求める 

 相続税の土地評価額を算出する際に最も重視する指標は
?の取引事例比較法です。
 これは今回相続や売買の対象となる土地の近郊で、似た条件で時期も近接
した土地売買の事例を収集し、それらと今回の評価対象地と比較して価格を
求めるという手法で、現実の売買実例がありますから、算出された価格は客
観性がある数字ということができます。

 ?の原価法は、土地ががけ地や山林などの場合、開発法といって
完成後の土地の売買予定価格から、土地を売買できる状態にするまでの費用
、つまり宅地造成費や擁壁工事代、整地費などを差し引いて、素地としての
土地の価格を求めるときに使用します。

 一方?の収益還元法は現在のところあまり相続土地の評価方法として、
税務署が認めていない手法のようです。
 しかし今後、土地の最有効使用をもっと真剣に考えていく時代になります
と、収益還元法の手法により求められた価格で実際に土地売買がなされてい
く事例が増えてくると思われますので、この指標はもっと評価されて然るべ
きものと考えます。 

 これからは私は土地に購買動機も将来の値上がりを待つという時代から、
土地そのものが生み出す収益力に着目していく時代になるのでは、と思って
います。
 事実東京都心では、そうした考え方がだいぶ定着しつつあるようです。

 そうなると、収益性の低い土地からより収益性の高い土地への乗り換え、
つまり買い換えが起きてくると思います。
 幸い現在の所得税法では、事業用の土地について80%まで買い換えを認
めていますから、この制度を活用されたらと思います。

 ただし購入資産が建物の場合、買い換え制度を使うと減価償却費が殆ど
計上できなくなるので、毎年の所得税がアップしてしまい、買い換え制度を
使わない場合に比べてかえって所得税額が増えてしまうケ?スがあるので、
注意が必要です。

 いずれにせよ土地神話が崩れた今、土地はより有効活用の時代に入ってお
り、低収益の土地から高収益の土地へのシフトが徐々に進んでいくことは間
違いないと思います。