事務所通信
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これからの税理士業務 その1 [これからの税理士業務]

2008-07-16

 前回の続きですが、他のサービス業と違って、税務処理については、その処理が適切であったかどうかの結論が、その場で分からず下手をすると数年先になってしまう、というのが一番困る点です。
 税理士のやっている業務が世間でなかなか正しく理解されない最大の原因は、サービスの結果が表れにくい点にあると思います。
 元々経理部門は、営業部門と違って仕事の成果が大変に見えにくい。
 経理、会計、税務処理が間違っていれば、株主、銀行、税務署から大変にお叱りを受けるけれども、間違いがない時にはただ、淡々と流れているだけで、別に褒められることもありません。
 派手さはないが、ミスをしたら大いに目立ってしまう仕事ですので、大変プレッシャ?はかかります。
 縁の下の力持ち的立場ですから、致し方ありません。ある意味空気みたいな存在です。
 しかしその反面、以前ありましたサントリ?レッドのCMで、大原麗子さんがつぶやいたフレーズ、
「長?く愛して、細?く愛して」ではありませんが、お客様と長くお付き合いできるのが、税理士業の一番良い点です。じっくり時間をかけて、お客様との信頼関係が少しずつ強固になっていく、これこそ税理士冥利に尽きるのではないでしょうか。
 ただこの変化の激しい世の中にあっては、税理士業務も税務、会計処理のみを手掛けていればよい、という時代ではなくなってきました。
 ひと昔のように顧問先の景気が一律に良好であった時代は、我々の業務の中心は節税でしたが、平成バブルの崩壊を契機に、景気が長期低迷状態が長く続く現在では、私たちの顧問先が節税うんぬんの前に、そもそも市場に生き残っていけるかどうか、予断を許さない状況です。
 今、書店の店頭には、経営に関する新刊本が次々と並んでいます。キャッシュフロ?改善、経営計画策定を謳った書籍が中心です。これひとつ見ても何とか事業を採算ベースに乗せていくには、また黒字を継続し、会社に内部留保をしていくか、悩んでいる事業者あるいはこれからの起業家が多いかが分かります。
 こうした傾向、ニーズを受けて、これからの税理士に求められている業務は、事業者の行った業績を財務諸表にまとめる結果計算ではなく、そもそも事業者が事業として継続していける人的、経済的基盤整備のお手伝いをする、という事業者の経営にもっと踏み込んだ積極的な姿勢が求められているように思います。
 ただ私たちは税理士であり、財務、税務に詳しい立場ですから、その専門的立場からお手伝いできる業務として、経営計画策定のお手伝い、財務諸表、特に貸借対照表をより改善していくための各種助言、銀行借入れ対策、増資、社債発行など資金繰りの改善に関する各種助言などがあります。