事務所通信
税務情報だけでなく、他士業の先生方からも有益な情報を頂戴し、
法律・労務人事・不動産・社会保険など幅広い情報をタイムリーに発信しています。
事務所通信 > 勤務税理士時代を回顧する その1 [勤務税理士時代の回顧]

勤務税理士時代を回顧する その1 [勤務税理士時代の回顧]

2008-07-18

 私は大学時代は法学部出身で、簿記や財務諸表論、マーケティングなど商業関連は全く知識がありませんでした。大学時代自分のやってみたい仕事の中に財務、会計は全く入っていませんでした。
 それが祖父のお付き合いの関係で、I税理士事務所に勤務することとなってから、税理、財務、会計の業界に足を踏み入れた次第です。25歳で入所しましたから、もうかれこれ28年間この業界で生きていることになります。早いものです。
  大学を卒業してすぐに就職したのは、中堅の損保会社でした。いきなり石川県の金沢支店に赴任し大いに戸惑いました。今まで親許を離れて暮らしたことがなかったからです。
 しかし北陸金沢の人たちはとても温かく、職場にも地元にもすぐに溶け込んでいけました。
仕事は査定業務、つまり保険事故に対する保険金の査定及び支払業務です。
 当時の新入社員は、今と違って即戦力を期待されていませんでしたから大変に気は楽でした。
 査定業務は保険事故の原因究明及び適正な保険金を査定し、支払う業務ですが、保険事故で最大のボリュ?ムがある自動車物損事故に対する査定といっても、その損害の度合、たとえばへこんだフロントフェンダ?を交換するか、それとも叩いて直せるかは、とても板金の専門知識のない私には分かりません。
 また過失割合にしても事故類型によって大体の割合があるものの、判例などにより過去の事故事例を検討しながら、決めていくことになるので、大変に難しい業務です。
 対人事故となりますと、さらに難易度は上がります。歩行者側にも過失がある場合の過失割合の算定、慰謝料の算定、またむち打ち症など自覚症状が主で、外見からは症状が見えにくい怪我の場合の適正医療費の算定など、対人賠償金の支払い保険金の額はかなりの多額になるだけに、その査定額の算定には民法の知識や判例の動向など相当な量の知識を要求されるために大変な激務です。
 幸い、というかまだ学生気分の抜けきらない自分は、対人事故査定業務は任せられませんでしたが、査定業務は人間のイヤな部分、ある意味ムキ出しの本性を見せる人との交渉だけに、今まで人間の裏の側面を見てこなかった自分にとっては、大いにカルチャ?ショツクを受けました。
 結局その中堅損保会社には2年間しか勤務しませんでしたが、甘っちょろい学生気分を払拭するには大いに有意義な2年間でした。
 K損保会社を4月末日をもって退職し、ゴールデンウィ?ク明けに、いよいよ私にとっての未知の世界、税理士業界に足を踏み入れることとなりました。
 I税理士事務所は、東京都町田市にある税理士事務所で、所員が7?8名の中規模事務所ですが、そのI先生は、女性ながら大変なヤリ手でめきめき業績を伸ばしていられる先生でした。