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顧問税理士時代を回顧する その18 [勤務税理士時代の回顧]

2008-08-11

 しかし私の未熟さはそればかりではありません。何と私はそうした事務所職員全員が自分の敵に回っていることに大いに憤慨し、もうやっていられるか、と開き直って結局元の状態に戻してしまったのです。
 つまり私は自分の元の担当先を自分に戻し、自分は自分の担当先の業務の他、副所長の業務を兼任することとしたのです。
 何の事はない、結局自分は副所長としての業務を放棄し、担当者に戻っただけなのです。
 これは開き直り以外の何物でもない。
 しかし当時の私は、より以上に自分の担当先の業務に精励することで、他の職員にもプレッシャ?をかけ、ひいては事務所全体の業務品質の向上につながると本気で考えていました。
 そして私にダダをこねた入所2年目の職員には、以前よりも厳しくあたった結果、半年後には事務所を去っていきました。そしてその職員の担当先は私が全て引き受けました。
 こうしてそれ以降は、事務所の職員が辞める度に私がその職員の担当先を殆ど引き受けていった結果、私が15年近く経ってI税理士事務所を辞めるころには、私の担当先は何と50件近くにまでなっていました。
今考えると何と馬鹿げたことをしたのだろう。
 I先生が私を副所長に就けたのは、私が2倍も3倍も担当者としての仕事をこなすことではなく、事務所職員全体のレベルアップを図ると同時に、I所長のイズムを職員にたたきこむことにあったのに、全く当時私が取った行動は逆でした。
 ムキになって仕事をこなすことで、事務所に十分貢献していると本気で思っていたのです。
 それが分かったのは、自分が開業し、人を採用してきてから。特に正職員を雇用してからです。
 ああ、あの時I先生が私に求めていたのは、人を育てることだったのか。自分の後釜を育て、個人プレイではなく事務所職員全体の底上げを図ることの方が、はるかにI事務所への恩返しになったものを。
 副所長に就いた時、さかんに組織、組織と連呼しておきながら、自分自身が最も個人プレイで、組織とは真逆な行動を取ってきたのです。何たる皮肉!
 でもI先生は何もおっしゃいませんでした。私が副所長の肩書を頂いてから約6年間一言も注意をされませんでした。ただひたすらずっと私の行動を見守っておられました。
 I先生はとっくに私の性格を読んでいたのです。カッカきている時に私に諫言しても、私は反省するどころか、自分の考え、行動をひたすら正当化する言葉を並べたてるだけでしょう。
 むしろ注意するとなお意固地になる私の欠点を十分知っていらしたからこそ、見守るしか手がなかったのでしょう。
 今思うと、,恥ずかしくてそれこそ目から火が出る思いです。
 と同時に辛抱強く使って下さったI先生にただひたすら感謝するのみです。
 I先生、あの時は本当に申し訳ありませんでした。。自分の未熟さを反省するどころか、ムキになって正当化するような言動を繰り返したことをどうかお許し下さい。
 謙虚さ、と言うのは簡単ですが、イザ自分のとっている行動を後から振り返ると、謙虚さのカケラもない言動が多いことに、我ながらビツクリというかゾッとします。
 とても自分は人様に注意したり、指導したりする立場の人間にはなれないな、と反省することしきりです。