勤務税理士時代を回顧するその21 [勤務税理士時代の回顧]
逃げたことも十分に分かっていながらなす術がない、そうした状態を放置せざるを得なかった自分に対して大変に忸怩たる思いでした。
その苦い経験をこのままで済ますものか、この未熟な自分を到底許すことはできない、どこかでこの無念を晴らしたい気持ちが、長い間自分の心の底にずっとわだかまっていました。
そのチャンスが訪れたのが、今のうちの職員である古澤君と伊藤さんが相次いで入所してきた年、つまり平成14年でした。
その年はうちの事務所にとっての最初の正社員である高橋君が辞めて、事務所が大幅に戦力ダウンした年です。
うちのような小さな事務所では、一人一人の職員にかかる負担は大きく、一人が辞めてもすぐに他の職員にしわ寄せがきます。
当時は正社員は高橋君のみで、あとの二人の職員はパートでしたから彼の退職に伴う影響は大変に大きいものがありました。
直ちに求人募集を行いましたが、事務所の方針として色のついた会計事務所職員(色眼鏡で見てスミマセン、i事務所での苦い経験でトラウマになっているのかもしれません)よりも、色のついていない会計事務所未経験者を雇用する、ということで古澤君を採用しました。
また11月には庶務パートのsさんが辞めることになって、その後釜として伊藤さんが入ってきました。
残念ながら平成7年に私が事務所を開いてから7年間、新規開拓に追われ事務所の運営は後回しになっていたので、i事務所での副所長経験を生かす機会はありませんでした。
この二人が入ってきてからみるみる間に事務所は安定してきました。
とにかく二人とも真面目で努力家です。入所してから2~3,年間は仕事の処理スピードはお世辞にも早いとは言えませんでしたが、丁寧に仕事をこなしてくれる。また私のきつい指導にも素直に応じまた必死に応えてくれようとしているのでとても助かりました。
今や二人はわが事務所にとって貴重な戦力となってくれていますが、古澤君はあと一科目に迫った税理士試験合格そしてその後の独立の問題、そして伊藤さんは主婦であるための労働時間の制約の問題などそれぞれに個人事情がありますので、いつまでも二人におんぶにだっこしているわけにもいきません。
そう考えるとこの事務所が安定している今こそ、次に入ってくる職員の教育のためにも、かねてからの懸案事項である事務所管理体制の構築を図ろうと、iso導入に踏み切ったのです。