事務所通信
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家族制度について考える その1 [家族制度について]

2008-06-05

 私は現代日本の核家族化社会に対して、大変な危機感を持っています。
そもそも日本人は言うまでもなく農耕民族であり、それがために集団生活が必要とされました。
狩猟民族でも集団生活はありますが、農耕民族に比べればその集団生活の必要性は低く、また人類の歴史は飢餓との戦いの歴史でもあり、皆が肩を寄せ合って生きていかなければ、厳しい自然環境の下では生き抜いてゆけなかったのです。
 それが一転して、特に明治維新以降は西洋文化の導入そして資本主義の浸透により貿易量が格段に増えた結果、世界中からあらゆる物がたやすく入ってくるようになり日本は物で溢れる飽食、飽和の時代となりました。
こうして物やサ?ビスが容易に手に入るまさにコンビニエンスな時代が到来すると、人間は益々わがままになります。また辛抱が利かなくなります。

「お客様は神様」の今日では、サ?ビスの供給側が熾烈なサ?ビス合戦を繰り広げる一方、サ?ビスの購入側である消費者はお金さえあれば殆どの物、サ?ビスが手に入る、しかもよりどりみどりの世界。

 辛抱する必要がないのです。だから我慢することが余計つらく感じるのです。 
 それが如実に現われているのが人間関係です。

 貧しい頃我慢し譲り合って、肩を寄せ合って生きていた人間がお金を手にした結果、集団でいる必要がなくなった。何故ならお金さえあれば殆どのモノがてに入るから。これはある意味仕方がないことつまり必然と言えるでしょう。しかしこうして一人一人が集団から解き放たれてわがままになっていった結果、人間関係を維持するのに四苦八苦するようになった、家族関係でさえも例外ではありません。
 こうして物質文明のもたらした影の部分が今、社会問題として大きくクローズアップされるようになりました。
 こういう時代、モノやサービスで満たされ一見すると大変豊かな時代だと思われますが、人間生活を送っていく上での一番大事な、他人とのコミュニケ?ション能力、がどんどん衰えてきていて、共存関係の維持及び構築がだんだん難しくなっています。
 私は無理に我慢や辛抱を強いるつもりはありませんが、月並みですが若い頃忍耐力をつけてかないと、物心ついてからつまりある程度自我に目覚めてプライドが高くなってしまってからでは、教育も大変だと思うのです。
 今流行りのキレキャラは子供、若者のみならず中高年にまで広く蔓延しているようですが、特に子供、若者に対しては″鉄は熱いうちに打て″の諺ではありませんが、早くからの教育出来れば自我が十分確立する前の教育が肝心であると強く思う今日この頃です。
 ところがその一番肝心な時期に、両親ともに働きに出てしまっている。子供に我慢、忍耐、そして社会との他人との付き合い方を十分に教えてくれる両親がいないのです。幼稚園や保育園に入れてそれを補っているのではないか、との見解もあるでしょう。
 ただ大変失礼ながら、とても保育士さん、園長先生など幼稚園、保育園関係者で十分に一人ひとりの幼児に十分な情操教育を施すことは物理的に不可能だと思うのです。これは小学校以上になればもっと言えるのです。
だって保育士さん、学校の先生方は一人で何人もの何十人もの幼児、生徒を見ているのです。全ての幼児、生徒にきめ細かくケアすることは一人の力では到底できません。
 特に難しいのが愛情面です。愛情だけは両親、祖父、祖母から注がれる愛情にまさるものはありません。勿論保育士さんそして先生もありったけの愛情をもって幼児にそして生徒に接していらっしゃると思います。大変お疲れ様です。
しかし愛情を一人の幼児に生徒に集中するわけにはいきません。逆に平等な愛情をそれぞれの幼児、生徒に注いでいかなければなりません。
 前回で愛情飢餓について触れましたが、今の忙しい世の中では大袈裟にいえば誰もが愛情飢餓に陥っているのではないでしょうか。夫婦でも親子間でも、十分にコミュニケ?ションをとる時間がなくすれ違いの生活が長く続けば大人だっておかしくなってしまいます。
 まして幼児、子供は対処する術を知らず、一人深く傷ついていく。それがトラウマとなって自分のことしか考えられない大人に育っていく、こうした悪の連鎖を断ち切るためには何を置いても幼児、子供時代に愛情面を中心に子供と十分に向き合う家庭を作ることが一番だと思うのです。
 今の核家族、夫婦共稼ぎの家庭ではそれが十分にできません。そこで祖父、祖母とともに暮らす三世代が同居する家庭の必要性が出てくるのです。
 事実おじいさん、あばあさんに育てられた子供たちは、優しい子が多いと聞きます。
それは幼い頃親そして祖父、祖母から十分な愛情を注いでもらっているので、愛情飢餓感がありません。十分満ち足りているのです。だから他人に愛情を強要することが少ないのです。
 それと祖父、祖母は前回にも触れましたが、人生の辛酸を味わってこられた人生の達人です。また時間もありますから、この点でもお年寄りの方がゆとりを持って広い心で子供に接することができます。人間急に成果を求められるよりも、広い心で見守ってくれる方がよほど変なプレッシャ?もかからず、失敗しても受け止めてくれる安心感があれば安心して前を向けるのです。
 残念ながら親世代は概して子供を立派に育てようとするあまり、子供にプレッシャ?を与えすぎて逆に子供を苦しめ、自分たちも苛立ってしまうきらいがあります。
 広い心で接しなければと頭では分かっていても、なかなかできないものです。
そういう時こそおじいさん、あばあさんの出番です。