事務所通信
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家族制度について考える その7 [家族制度について]

2008-06-11

 もう一つ道徳教育のカリキュラムに加えてほしいのが、親を含めた先人を尊敬する気持ちの醸成です。これも資本主義経済のひずみですが、忙しい世の中で人の気持ちに余裕がなく、また日進月歩の技術の進歩にお年寄りがついていけないこともあって、若者は年寄りを邪険にする風潮が強く見られます。
 市場では技術革新の波についていけない企業は市場からの撤退を余儀なくされますが、その市場の論理をそのままに新しい文化についていけない年寄りは去れ、とばかりに老人を隅っこに追いやろうとしています。そこのけ、そこのけ、若者が通るとばかりに。
 確かに新しい文化は若者を中心にどんどん良いものが生まれれば良いとは思いますが、問題なのは社会全体が新しいもの、つまり若者にばかりスポットを当てすぎていることです。その結果日の当たらない老人をバカにする風潮が世間に蔓延しています。
 家庭でも核家族化が進んでおり家庭にはお年寄りはいませんから、老人と身近に接する機会は少ない。そうして育った子供たちが、お年寄りを尊敬しなさいと言っても無理でしょう。だって社会全体が劣り寄りを邪魔者扱いしているのですから。もう用済みと言わんばかりに。
 その点、「アメリカインディアンの教え」にもあるように、昔の生活を守り続けている 文化圏であるほど、家長、長老、先人が尊敬されています。彼らは生活の上での知恵者であり、文化の継承者であるからです。
 確かにインタ?ネット社会が到来し、情報がインタ?ネット等で簡単に手に入る時代では、先人の知恵がそれほど必要なのか、といった疑問も出てくるでしょう。しかし情報の中には、活字ではなく、口頭や態度で伝えなければ伝わらないものがあります。
 情にからむ部分のやりとり、たとえば愛情、友情の表現の仕方、親子間の愛情などはフェイストゥフェイス、つまり生身の人間同士が相対しお互いの感情をぶつけ合っていかなければ到底表現できないし、伝わらないものです。
 人間は感情の動物です。合理的な判断をする一方で、非常に合理性とは相反する行動をとるのです。特に情がからむ部分については。
 今の時代は経済が主体となって動いている世の中なので、そうした経済に関する情報の収集はインタ?ネットなどで取り出せば良いしそれが最も合理的、効率的です。
 しかし情がからむ部分、愛情、友情などは生身の人間同士のぶつかり合いの中でしか伝わらないのです。ブログ、メ?ル、携帯電話等でのやり取りは、単なる情報交換の程度であれば十分有効ですが、込み入った話となればやはりお互いが直接会ってコミュニケ?ションをとるべきでしょう。文明の利器にも限界はあるのです。
 親子の関係は思い切り情の部分ですし、先人の知恵特に家訓、先祖のこと、地元、近隣との付き合い方などの重要な事柄は、お年寄りから直接口頭で伝え聞くしか十分伝わらないものです。
 お年寄りは人生の達人であり、その達人の貴重な人生訓を聞かない手はないと思うのです。