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広大地に関する考察 その4 [広大地についての考察]

2008-09-06

 広大地通達は計算式そのものは単純でも、その適否の判断が前述のように大変難解で、われわれ税理士の間でも大いに頭を悩ましています。
 われわれ税理士は税法についてのプロと呼ばれる立場ですが、この広大地通達の適否については、税法の前に不動産に関する知識を要求されます。
 私は昭和62年に税理士試験に合格してからすぐに、宅地建物取引主任者に試験にチャレンジし、昭和63年に無事試験に合格し、取引主任者として登録しています。
 何故ならこれから資産税業務を扱うにあたっては、不動産に関する最低限の知識を要求され、そのためには宅地建物取引主任者の試験科目は、不動産の知識を得るのに最適と判断したからです。
 特に建築基準法に関する知識は、今でも頻繁に実務をやる上で出てきますので、大いに役に立っています。
 しかし宅地建物取引主任者の資格は、私からすれば資産税業務を行う上での最低限の知識を得るにすぎず、あとはOJTで、不動産の売却、不動産の活用、広大地の適否など実務で様々なケ?スに出会うことによって、不動産業者、測量士、土地家屋調査士、不動産鑑定士の方々に教えてもらって知識を深めていく以外にありません。
 実は宅地建物取引主任者の合格の後、不動産鑑定士試験を目指そうとしたのですが、試験が難解ですので、とても仕事をしながら(特にその時はI税理士事務所の副所長として、慣れない仕事に四苦八苦していました。)の合い間を縫っての勉強というわけにもいかなかったので、テキストは揃えたのですが、結局断念しました。
 なかには、税理士でも不動産鑑定士の資格を持ちれている方もいらっしゃいますが、とても羨ましく思います。
不動産鑑定士こそ土地評価のプロであり、毎年国税庁が発表する路線価や市区町村の発表する固定資産税の路線価、国の発表する公示価格、都道府県の発表する基準価格などは、全て不動産鑑定士が価格評価をしているのです。
 ですから不動産鑑定士の資格を持っていれば、まさに鬼に金棒なのです。だって例えば広大地の適否を判断する要素も不動産評価のプロとして、税理士よりも税務署の職員よりもはるかに詳しく判定できるからです。
 またそれぞれの土地の持つ個別性を土地の評価に十分に反映させることができるので、財産評価基本通達によって評価した土地の相続税評価額が、時価を超えていないかをチェックすることも簡単にできます。