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相続税対策について その4 [相続税対策について]

2011-09-02

 民主党の3代目首相として、野田衆議院議員が選出されました。
この方は、総理選挙にあたって5人の候補者の中で唯一増税を明言した方でもあり
ます。管政権下では財務大臣を務めておられたので、考え方が財務省寄りになるの
もある意味致し方ないのかな、とは思います。

 しかし、大震災後の復興及び急激な円高が続く今の日本の経済状況下での、消費
税、法人税、所得税などの基幹税の増税は、如何なものでしょうか。
 体力の弱っている患者に、もっと運動をしなさいと言っているようなもので、かなり無茶
な話だとは思いますが....。

 それよりも円高対策をしっかりやって、日本国内の産業を守ることの方が先決だと思い
ますが、いずれにせよ手際の良いお手並みを期待したいものです。

 相続税の改正(増税)も先送りされてはいますが、今の政治の流れからしますと、増税
は時間の問題のような気がします。

 基礎控除額が現行の6割相当になり、生命保険金の非課税枠が縮小されただけで、
現行の相続税法下でも課税される方は、最低でも数百万円もの増税になってしまいます。

 それでも相続税対策がなかなか進まない原因として、色々ありますがそのいくつかを
挙げてみます。
 ?そもそも相続税対策は、今生きている人の死亡を前提として考えているので、現在
  生きているその本人(推定被相続人)からすれば、とんでもない話であり、生理的に
  受け付けない。
?そこまでの拒否反応はないにしても、自分の持っている財産を子供らに開示すること
  へのさまざまな拒否反応。
  例えば子供たちが自分の財産を当てにして真面目に働かなくのではないかとか、
  かえって子供たち間の争族争いの火種となるのではないか、
  自分が生きている間は、子供たちの争族争いを見たくない、
  財産をオ?プンにしてしまうと贈与をせっつかれ、生前贈与することにより、自分が老後
  面倒を看てもらえるかの不安  など
?自分が死んだらその時はその時で、妻や子供たちが何とかやりくりするだろう
  要は自分が死んだ後の事まで考えたくない、後は良きに計らえといった心境でしょうか。
?そもそも子供たちが自分の財産を当てにすることがおかしい。子供たちは独力で生きて
  いくべきで、相続財産はおまけみたいなものだ。
?自分は老後子供たちに世話になることは考えていない。その代わり老人ホ?ムへの
  入所、医療費の心配などがあるので、老後の資金をしっかりとっておく必要があるので
  生前贈与などは考えていない。  

 皆さんさまざまなお考えがあるようで、その家々のご事情もありますからそのお考えが
間違っているとか生意気なことを申し上げる気はさらさらありません。
 ただ税理士は、お客様に税金に関する様々な情報をお伝えし、よりお客様が有利になる
ような提案をさせていただくことが仕事ですから、相続が100%発生する以上、増税を目の
前にして相続税対策を提案することは、ある意味必須です。

 何もしなければ、新法が成立するとそれだけで少なくても数百万円の増税となるのです
から、資産家の方にとっては消費税の増税よりもその影響ははるかに大きいのです。