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相続税対策について その5 [相続税対策について]

2011-09-03

 人の死を前提とした相続税対策は、心情的にはイヤなテ?マですし、頭では対策が必要
だとは思っても、なかなか気乗りがしない、重い腰が上がらないのも分かります。
 そういう時私は次のように申し上げます。

 あなたにとって一番大事なことは何でしょうか。
ご自分及びご家族の無病息災及び子孫の繁栄ですか。
 子孫の繁栄を願うのであれば、あなたがお元気な今、将来のその家々のあるべき姿を
ご提示して差し上げたら如何ですか。
 勿論子供は子供で自力で人生を切り開いていきますが、子供たちがより幸せになっていく
ことを願うなら、今親として出来ることをお考えになったら如何ですか、と。

 遺言は次世代への羅針盤、と書いてある書籍もあります。
子の人生は子自身で開拓していくものであって、親が何ら指図するものではないことも分か
ります。
 しかし親が子供を想う気持ちは深いのです。
私も親になって初めてこの気持ちが分かりました。何ら見返りを期待しない愛情は親子で
しか生まれないのではないでしょうか。
 その親が、子供に自分の子供に対する愛情、期待を切々と語って何が悪いのでしょうか。

 むしろお互い大人同士になると、親子といえども遠慮し合って妙な距離感が生まれ、却っ
てギクシャクすることが多いのではないでしょうか。
 個を尊重すると言っても、親は子のことは一から百まで知っています。
三つ子の魂百まで、と言いますが、子の基本的性格は幼い頃から変わらないのです。
子供のことを知りぬいている親だからこそ、子供の将来に対する不安、期待は親が生きて
いる限り消えないものです。
 
 ですから私は今の親が子供の個というか自我を尊重する余り遠慮しすぎている現状を
見るにつけ、もっと子の生活に踏み込んで良いのではと思っています。
 
 少々話が脱線気味になってしまいましたが、相続税対策をするということは、将来のその
家々の、家族のあり方を指し示すことでもあります。
 勿論国に支払う相続税そのものの軽減を図ることは重要な要素ではありますが、単に相
続税額を安くするだけのものではありません。むしろ税額の軽減は相続税対策の結果とし
ての産物と捉えるべきものと、私は思っています。
 何故こんなことを言うのかといえば、いまから約20数年前のバブル期に流行った相続税
対策は、理念なき相続税対策と映るからです。