相続税対策について その9 [相続税対策について]
?建物について評価額が下がった理由は下記の通りです。
イ.土地と同じように、入居者が借地借家法で保護されるということで、地主側の権利
.利用制限があることから、借家権割合30%を差し引いて、70%で評価される
ということです。
ロ.3億円の資金で3億円の建物を建築した訳ですから、3億円の投下資本額=建物
の評価額となりそうなところですが、そうではありません。
建築直後の建物であれば、投下資本額×70%
建築した年の翌年であれば、固定資産税評価額 が評価額となります。
投下資本額そのもので評価しない理由は、一応評価の安全性ということになって
いますが、私なりに解釈すれば、建築された建物は代替性が落ちることが評価額
の下がる理由であると思います。
車でも建物でも、流通性、換金性がポイントであろうかと思います。つまり一旦購入
した車や建物は、特に建物は注文主である地主さんの仕様に沿って作られている
訳でして、他の人がこの建物を買い求める時、自分の仕様ではありませんから、
地主が投下した資本額で買ってくれることは稀、というよりもまずないと思います。
現金であれば流通性は100%だし、換金性も100%だから何ら問題はありませ
んが、建物や一般動産は、換金性、流通性は限定される以上、よほどプレミアムが
つかない限り、投下資本額で売れるということはないはずです。
この辺を考慮し、最低30%のディスカウントをしたということだと思います。
また、建築後の翌年には、各市役所が建物について固定資産税の評価額が付し
ますが、この固定資産税評価額の計算は評点方式を採っております。
評点方式というのは、建築にあたってどういう材料、部材が使われたかによって
積算して評価額を積み上げていく方式です。
よほど良い材料を使っていない限り、固定資産税評価額は一般的には建築価額
の40?50%程度になっているようです。
相続税及び贈与税の評価上は、財産評価基本通達により、建物については固定
資産税評価額を基に評価こととなっていますので、結果的に建築価額と大幅な乖離
が生じるという結果となります。
?一方借入金については、何ら評価減はありません。
当たり前のことですが、3億円の借金をしたら、何十年かけて3億円の元金を返済
していかねばならないわけでして、これが評価減される理由はありません。
ですから結果としての話ですが、デフレ下では借金は、実質的に表面借入額以上
の負担となりますし、逆にインフレ下では、割安となります。
なぜならば他の物品の価値或いは給与などの所得が減少している中で、借金は
相対的に負担感が重くなりますし、インフレ下ではその逆だからです。