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研修受講について考える その1 [研修受講について考える]

2008-04-27

 研修といえば、我々税理士には年間36時間研修が義務づけられています。
つまり専門職として、税務に関する研修を36時間受講しなさい、というものです。
 毎年4月から翌年3月までを1年として、その間に受講した研修の内容及び各研修の受講時間を自分が所属する支部に報告し、各支部が単位会の本会に報告、さらに単位会が日本税理士会連合会に報告するという集計方法を採っています。
 ただ義務化とはいっても36時間に達しない場合でも別に罰則があるわけではありません。
ですから言ってみれば努力目標といったところでしょうか。こんな緩やかな目標である上に、この報告すらしない会員も多数いて、これでは何のための目標設定だか分かりません。
 税理士制度の最大の恩典は、更新制度がないことです。ほかの士業例えば弁護士、司法書士も国家試験に合格しさらに登録をしてしまえば、確かその資格は余程の事情がない限り一生失われることがないと聞いています。税理士も多くの他士業と同じく合格するまでの道のりは大変厳しいのですが、その山を越してしまえば、その後は安泰(尤も業として生計を営んでいくのが大変ではありますが...)というのはどう考えても自分たちを甘やかし過ぎでは、といった批判が聞こえてきそうです。
 その代わり合格するまで、そして登録するまでに血の滲むような勉強と経験を積み重ねてきているのだ、だから登録の段階で一定以上のレベルに達しているのだから更新など必要ない、という見解にも一理はあると思います。
しかし昨今の世の中の移り変わりの早いこと、それに伴い税法、商法など我々の専門分野といえる様々の法律も猫の目のように目まぐるしく変わっています。ですからちょっと目を離した隙に法律が改定され情報がどんどん新しくなっている。私も何故こうもクルクル法律が変わるんだ、いい加減にしてくれと言いたいところですが、法律は世の動向の後を追っかけるもの、ある意味仕方がありません。
 そんな忙しい現在に生きている税理士が、更新制度など関係ないとノンビリ構えていられるでしょうか?それこそ時代に取り残されてしまうのではないでしょうか?
 勿論個々の税理士をとってみれば、危機感をもって最新の税制改正や周辺の情報に常にアンテナを張り、最新情報を常に自分の中に消化しようとされている方は沢山いらっしゃいます。しかし業界全体としてはどうか?
 極論ではありますが、今や36時間研修の義務化そしてその必達など悠長なことを言っていられる時期ではないと思うのは私だけではないはずです。36時間研修の必達は当たり前、研修受講について感想論文を提出させるべき、そしてそれが最低限の目標ではないでしょうか、我々がこの税理士という職業をやっていく限りこの位の勉強は最低限ではないでしょうか。
 ここで自分の事に触れるといかにも自慢話に聞こえそうですが私は決してそういうつもりで言っているのではないことを最初にお断りしておきます。自分の昨年度つまり19年4月?20年3月までの税務研修受講時間は約90時間でした。その前の年度は108時間でした。勿論この中には前回レポ?トしたCS関係研修など税法以外の研修は含まれていません。それでも足りない位なのです。我々の守備範囲である税法だけとってみても、法人税、所得税、消費税、相続税、商法などいくつもの法律があり、判例の収集なども入れるといくら勉強してもしすぎるといったことはないのです。勿論我々税理士は実務家ですから、顧客への税務相談、月次監査など日常実務をこなした上での勉強ということになります。
 仕事の合間を縫っての勉強ですから大変ですが、これも職業会計人として致し方ないのではないでしょうか?私は個々の税理士の自助努力に依存するのではなく、業界全体としてのレベルアップがなければ税理士業界全体が地盤沈下してしまうのでは、と危機感を募らせています。
  続きは次回に。