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税務調査について その5 [税務調査について]

2008-07-13

 続いて、売上原価及び製造原価、工事原価項目に関する調査が始まります。仕入、外注費については当たり前のことですが、売上との対応関係を重視しながらのチェックが念入りになされます。
 特に外注費については、架空外注費がないか、外注取引先の住所、氏名、電話番号などの一覧表の提出を求められることもあります。また外注先に依頼している仕事の内容、指導監督の有無などもよく訊かれます。外注費については、建設業、製造業ともに一人親方が多く、そうした外注先は確定申告をしていない人が多いことから、支払った外注費が本当に支払った額なのか、水増しされていないかなど特に注意を払って調査されます。支払方法が特に現金払いの場合、不審の目で見られます。
 また売上との対応関係で、期末棚卸高についてもその計算根拠を細かく訊かれます。
 先に述べた〆後売上の計上や売上の翌期への繰延べ、期末在庫高、仕掛品の計上などは、とかく利益操作の対象になりがちな項目だけに、税務調査官も当然目を光らせてチェックします。
 売上及び原価項目の調査が終わると、いよいよ人件費の調査となります。
 人件費については、架空人件費の計上。特にパートについては年間103万円の収入までが扶養控除の対象となることから、パート間のパート代の貸し借りをしている可能性がありますので注意が必要です。
 社員、パートの名簿の提出を求められるのは、外注費と同様で、勤務実態の確認と思われます。 
 また中小企業はその殆どが同族一族で固められている同族会社であることから、役員報酬については重点調査項目の一つです。
 特に法人税法34条の定期同額給与及び法人税法第35条の同族会社主宰役員に対する役員報酬の一部損金不算入制度が平成18年度新設されたことに伴い、両規定に沿った報酬の支給がなされているか、及び租税回避行為はないか、十分にチェツクされます。
 同族会社についてはそもそも株主=役員であり、社長一族の考えに口をはさめる立場の人間は会社にはいませんので、内部牽制機能が働かず、社長のツルの一声で何でもできてしまう、いわゆるワンマン経営が容易に出来ることから、税務署も社会常識ではありえないが、同族会社であればこそできる取引、例えば社長からその私有車を不相当に高く買い上げるとか、社長に不相当に安い家賃で建物を貸すとか、同族会社と同族株主との間の取引は特にキビしくチェックします。
 人件費は経費の中では最も金額が大きく、不正も働きやすいことからチェックがキビしくなるのは致し方ありません。 
続いて販売費一般管理費の中で、金額的にボリュ?ムの大きい費目に当然目が行きます。
 どの費目が金額的に多いのかは、業種によってマチマチですので一概には言えませんが、交通費、接待交際費、修繕費、消耗品費、支払手数料については必ず調査が入ると思っていた方が良いでしょう。