事務所通信
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税政連の活動とその役割 その4 [税政連の活動とその役割]

2008-09-22

 以上のように、様々な成果を挙げてきた税政連の活動ですが、ここ数年の所得税、法人税の大改正には、力が及ばなかった改正項目も多々あります。

 その一つは何と言っても、長期譲渡所得の損益通算の廃止と、100万円控除の撤廃です。
平成15年12月17日に発表された、自民党税制調査会による税制改正大綱において、何の前触れもなく、この法律が発表されたのです。

 この法律は、個人が所有する土地のうち、自分の居住用の土地すなわち自宅の敷地以外の土地については、売却時の価額が購入時の価額を下回っても、そのマイナス部分つまり赤字となった部分の金額は、他の所得との損益通算を認めない、という制度です。

 その趣旨は一言で言えば、自己責任の原則。つまり自己居住用以外の土地を投資ないしは事業用、営業用の土地とみなし、そうした投資、営業による土地の取得については、生活の本拠としての自己居住用の土地のように保護するに値しない土地であるから、その結果生じた赤字については、所得税では救済しないことを明白にした法律改正でした。

 その是非については賛否両論あるにせよ、国税庁はそのやり方が強硬でした。というよりも良く言えば電光石火のごとく、悪く言えば夜陰に乗じた騙し討ちに近いやり方でした。
 翌年度の税制改正については、毎年12月の中旬に自民党税制調査会からその大綱が発表されるのですが、その数か月あるいは前年から法律改正の方向、検討項目はあらかた予想がついているのが通例です。
 しかし今回のこの法律改正については、前年でも検討項目に挙がっておらず、まさに国税庁の官僚が゛密かに温めておいた法案をできるだけ内密にして、暮れの大綱に載せて発表したのでした。

 この法律改正がさして社会的影響がないものであれば、あまり大きな問題にならなかったのでしょうが、その影響たるや甚大なものがありましたので、発表されると途端に大騒ぎとなりました。