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税政連の活動とその役割 その6 [税政連の活動とその役割]

2008-09-24

 いくら社会的に大きな影響を与えるからといっても、隠密裡に事を運び、分かった時は事後承諾的なやり方は、そもそも相手を信用していないことに起因するのですから、裏切られた当事者には大きな傷が残るのは当然でしょう。

 後日談ですが、この土地建物の譲渡所得の原則損失切り捨ての新法は、平成16年1月1日より施行されましたが、平成16年3月26日に国会で可決成立した法律を同年1月1日に遡って適用するのは、納税者に著しい不利益を与えるとして、租税法規不遡及の原則に違反し、違憲つまり国側の敗訴の判決が、平成20年1月29日福岡地裁で出されました。

 やはり方法論、手続の方法にかなりの無理があつたことは間違いのない事実でありまして、税政連としては、この新法の撤廃を求めて毎年粘り強く陳情しています。
 やはり、社会的影響力の強い税制改正については、徹底的に議論を尽くす必要があると強く思います。
改正してしまった後で、その法律をもう一度撤廃したり、手直しを加えるのは決して好ましいことではありません。労力の無駄ですし、そう毎年毎年法律が変わるのは、社会的安定性の点からしてもうまくありません。

 もう一つ税政連が強く撤廃を訴えている税法があります。
 私のブログア?カイブでも書いていますが、
 法人税法第35条の「特殊支配同族会社の役員給与にかかる損金不算入制度」です。

 この税法は、平成18年度改正による新制度です。
 その成立趣旨については、拙稿ブログ「税制改正について考える その1」(20.4.30投稿)
に詳しくというか、かなり激高して書いていますのでそれを参照して頂きたいのですが、簡単に言えば、次のような趣旨です。
 商法改正により最低資本金制度が撤廃され、資本金が1円でも会社設立ができるようになったことから、大量の個人事業者が法人成りすることが予想される事態になりました。
 国税庁としては、事実上個人事業主でありながら、税法上法人からの役員報酬を支給されることによって、事実上架空の経費、すなわち給与所得控除額相当額の架空経費を認めることとなり、これは行き過ぎた節税であるとして、法人税法上損金算入を大幅に制限する、つまり網をかけた法律です。