事務所通信
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農家、農業のあり方について その2 [農業について考える]

2008-06-15

 農業については、米の減反政策に伴い休耕田が多いとか、国産の野菜や果物は高いとか、大した耕作をやっていないのに、農地にさまざまな税金の特典が認められているのはおかしいではないかとか色々な批判の声が多いようです。
 しかし私も近隣の農家の方々の確定申告や相続税申告のお手伝いをして、身近に農家の方々の仕事ぶり、生活ぶりを見る機会が多いのですが、決して世間一般で言われるような、いい思いをしていることは決してありません。
 むしろ事実はその逆です。家族総出でそれこそいくら元気とは言え、80歳過ぎの老夫婦が頭になって若夫婦そして中には大きくなった孫まで総出で、朝早くから夜まで働いて皆さんいくらの稼ぎになっていると思います?
 守秘義務があるのであまり詳しい数字は言えませんが、どの農家でも家族4?5人が総出で目一杯働いて、年収が1千万円に遠く及ばないのですよ。一人当たりに換算すれば、多くても年収200万円しかないのですよ。
 今の世の中フリータ?で、短期アルバイトを繰り返していっても年収200万円ぐらいにはなるでしょう。まして正社員となれば新卒社員でも年収は300万円位あるのではないでしょうか。
 労働時間は長く、朝は早く、労働はキツく、しかも土いじりの地味な仕事ですから皆農業を敬遠して、もっと割の良いそしてもっと楽をして稼げる、或いはもっと華やかな仕事に就きたがるのではありませんか?
 かくいう私も祖父の代に農業をやめた口ですからあまり偉そうな事は言えませんが、日本の農家は常に国から補助を受け、のうのうとしているように思っていらっしゃる、かなり誤解をして農家を見ている方が多いようなので、ついムキになってしまいました。
 ムキになったと言えば、私が税理士事務所を開業した時にある建設業の方から言われて、思わずムキになった一言、
 それは「税理士なんて紙とペンさえあれば出来る商売だからいいよな、しかも夏は冷房、冬は暖房の利いた部屋でぬくぬく仕事が出来て。こちとら夏は炎天下、冬は北風がピュ?ピュ?吹く中で仕事をするんだからたまったもんじゃないよね。」という何とも痛烈な皮肉。、
 確かに当たっている部分もありますが、私がムカッと来たのは、仕事のつらさはそれぞれの職業によってマチマチであり、建設業に就いているの方々にはその方たちなりのつらさ、我々税理士には我々なりのつらさがある訳でして、ただ表面的な部分のみを見てどっちが楽だあるいは大変だなど、軽々しく言って欲しくないからです。
 そんなに税理士が楽そうに見えるのであれば、それこそ自分たちもやればよいではありませんか、と思わず反論しようとも思いましたが勿論やめました。
 私から言わせれば、人の仕事に断じてケチをつけるべきではない。
むしろ自分たちの仕事に誇りを持っている人は、他人のしている仕事にも理解を示し、尊重してくれるのではないでしょうか。
 少しくどくなりましたが、農業に従事している人に対して、やれ国から補助してもらっているだの、税金の特典を十分受けているだの一面のみを見て、人の仕事がさも恵まれているかのごとき軽々しい発言は辞めて頂きたい、農業を営む人たちの大変さを十分分かった上で発言していただきたいと強く思うのです。